「理系が活躍できる仕事」、「求められている仕事」と聞いて、皆さんはどんな仕事を思い浮かべるでしょうか。
「研究開発職」や、「ITエンジニア」といった仕事を真っ先に思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実際に世の中を見てみると、極めて多様な分野で理系人材が活躍しています。 「多くの企業は理系の専門性を評価しているので、専攻以外の仕事を志望しても不利なのでは」と考える方もいるかもしれませんが、一見すると意外と思えるような企業・業界からも〝理系人材を採用したい〟というニーズは聞こえてきます。そういった企業・業界では〝理系〟のどういった素養を評価し、必要としているのでしょうか。詳しく聞くと、理系に期待される素養は大きく二つに分けることができます。
ひとつは言うまでもなく、大学の研究で培った各専攻分野における高度な「理系の専門性」です。そして、もうひとつは研究などを通じて培われる論理的思考力や数理能力、基礎学力といった「理系の基礎力」です。以前に比べ、コンサルや金融業界で活躍している理系人材は増加傾向にありますが、コンサルタントや金融専門職といった職種において論理的思考力や数理能力といった「理系の基礎力」が求められているという背景があるのです。
このページのマトリクス図では縦軸を「理系の専門性」、横軸を「理系の基礎力」として、理系の素養を活かすことができる仕事を配置しています。もちろん、上記以外にも理系の素養を活かせる仕事は存在しますし、企業によっては専門性や基礎力を活かせる度合いが異なる場合もあるでしょう。この特集記事をきっかけとして、理系が活躍できるフィールドの可能性を知り、興味を持った仕事があれば、より深く情報収集をすることで理解を深め、自身のキャリアについて考えてみてください。
理系の専門性を最大限に活かせる“研究開発”。長期視点で革新的な研究を行う基礎研究と、具体的な製品を生み出したり、品質・性能改善に取り組む応用研究に分けられる。
ビッグデータを適切に収集、分析することで企業戦略を支援するデータ分析の専門家、データサイエンティスト。統計学の知識やプログラミングスキルなどが求められる。
戦略コンサルタントは論理的思考力が重視され、理系人材が多数活躍している仕事のひとつ。メーカーがクライアントの場合は、理系の専門知識が活かせる事も。
複雑な数理モデルを用いて金融商品や資産運用モデルなどの開発を手掛けるアクチュアリーやクオンツといった金融専門職。いずれの仕事でも高度な数理能力は不可欠。
エバンジェリスト
ITの新技術や新製品の普及活動や最適な活用方法についての啓蒙活動をおこなう『伝道師』。ITエンジニアらに向けて、講演や執筆などを通じて最新技術のメリットや価値を伝える仕事。
メーカーのグローバル展開にともない、戦略的重要性が高まる知的財産や特許の管理。技術を理解している特許・知的財産のスペシャリストに対するニーズは高い。
工学系から医薬系まで、世の中には様々な領域の技術系専門情報誌や取扱説明書が存在する。それらを制作するためには、各専門分野についての深い理解が欠かせない。
一般の方に科学技術への理解を深めてもらうべく、様々な手法を用いて分かりやすく伝える仕事。科学館などでの解説やイベント企画のほか、講演やメディア出演をしているサイエンスコミュニケーターも。
理系の知識を活かして国の政策を作り上げていく“総合職”と、その政策を実行する“一般職”、地方行政で様々な業務に携わる“地方公務員”などがある。
営業(メーカー、IT)
メーカーやIT業界では営業系職種においても、技術的な背景を持った人材は歓迎される。営業といっても技術的なサポートや顧客のアフターケアなどが主要ミッションとなる場合も。
精密機器や化学製品、医薬品などを取り扱う商社や、数理モデルからなる金融商品を取り扱う金融業界においても、営業ポジションに理系を歓迎する企業は少なくない。
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