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トップインタビュー(株式会社FUTUREWOODS 代表取締役 小浜 勇人)理系ナビ2025秋号

【キャリア情報誌 理系ナビ 2025秋号 掲載記事】

データサイエンスとAI技術で営業・マーケティングの課題解決に取り組む株式会社FUTUREWOODS。慶應義塾大学 理工学部 電気工学科を卒業後、大手情報サービス企業でシステム開発から事業運営まで幅広い経験を積んだ小浜勇人氏が2015年に起業した同社は、現在3,500社以上の企業に営業支援サービスを提供している。「売れる」の未来を『カガク』する、という同社の理念の先には、どのような世界が拓けているのか。技術を社会実装する上で、どのような難しさがあるのか。同社代表取締役の小浜勇人氏に聞いた。


PROFILE

小浜 勇人(こはま・はやと)
株式会社FUTUREWOODS 代表取締役

1964年生まれ、慶應義塾大学 理工学部 電気工学科卒業。1987年に株式会社リクルートに入社後、通信系新規サービス事業の立ち上げに携わる。ITシステムの統括部署にて数々のネット系サービスの立ち上げに関わった後、メディアプロデュースの分野でブライダル事業、進学事業などの事業運営を担当。2015年9月に株式会社FUTUREWOODSを創業し、データサイエンスとAI技術を活用した営業支援サービスの開発・提供に取り組む。

≪株式会社FUTUREWOODSのHPはこちら≫



データサイエンスが変える営業・マーケティングの未来


株式会社FUTUREWOODSはデータサイエンスとAI技術を活用し、営業・マーケティングの課題解決に取り組むスタートアップ企業だ。同社が開発・提供している営業支援サービス『FutureSearch』と企業情報データベースサービスの『SalesRadar』は、東証プライム上場の大手企業から中小企業まで、3,500社以上の幅広いクライアントに採用されている。また、近年ではデータを活用して課題解決を支援するコンサルティング事業も新たに開始し、データサイエンスを主軸に事業領域を拡大しつつある。

「私たちはAI技術を活用してデータを多面的に分析し、営業・マーケティングに活用できる形にしています」と語る同社代表の小浜勇人氏。学生時代には電気工学を専攻し、リクルートで経験を積んだ後、2015年9月にFUTUREWOODSを創業したという経歴の持ち主だ。

FUTUREWOODSは、「営業における人の介在価値を科学する」、「新しいIT技術を使ったサービスを展開する」というビジョンのもとに生まれた会社だ。例えば、従来の営業活動においては「どこに、いつ営業すれば効果的なのか」という長年の課題があった。FUTUREWOODSは、独自の企業データベースとAI技術を駆使し、ターゲット企業の動向やニュースリリースといった情報から、最適なアプローチ先とタイミングを割り出す。これにより、営業担当者は勘や経験だけに頼ることなく、データに基づいた戦略的な活動を展開できるようになる。

特に近年ではAIに対する注目が飛躍的に高まっており、同社においてもAIを活用したソリューションの高度化や開発スピードの高速化が進んでいる。同社が持つ網羅的なデータベースやソリューションの独自性を活かし、AIによって新しい価値を生み出すことが、目下のチャレンジだという。

2015年の創業以来、コロナ禍や生成AIの台頭など、激しい変化の波にさらされてきたはずだが、「常に面白いですね。創業以来、モチベーションが落ちたことはありません」と、小浜氏の表情はむしろ輝いている。


マーケティングコミュニケーションを、より多くの人へ


FUTUREWOODSは、「売れる」の未来を『カガク』する、という理念を掲げている。営業・販売・マーケティングをITの力で支援し、すべての事業者にとってマーケティングコミュニケーションを身近なものにすることが同社のめざす世界だ。特に小規模な事業者に対する小浜氏の視線は熱い。

「商品やサービスを広めたい時に、これまでは広告を出したり、商社などに頼ることが一般的でしたが、小規模な事業者同士の場合には、どうしても「つながりにくい」という課題があります。ですが、本当はスモール・トゥ・スモールでつながることで、新しい価値が生まれる可能性もあるはずです」

現状では、商品・サービスを広く知らしめるには大きなコストや時間がかかるため、小さな事業者同士のつながりは生まれにくい。小浜氏は、こうした構造に切り込みたいと考えているのだ。

「そのままでは新しいものが生まれにくく、生まれたとしても広がりません。スモール・トゥ・スモールの壁が低くなれば、本当にパワーのある商品であれば世界に広がっていくでしょう」。そう小浜氏が思い描くように、マーケティングコミュニケーションが本当に民主化されれば、より豊かな世界になっていくだろう。「売れる」の未来の変革に挑む同社の意義は大きい。

株式会社FUTUREWOODS 代表取締役 小浜 勇人


技術を世の中に活かしたい。大手情報サービス企業へと入社


小浜氏のキャリアの原点は学生時代に遡る。中学・高校時代に数学や物理に興味を持ち、理系の道へ。大学では電気工学を専攻し、レーダーの研究に没頭した。研究室に残るか、メーカーに就職するか。多くの理系学生と同様の選択肢を前にした小浜氏が選んだのは、周囲では珍しい大手情報サービス企業への入社だった。

「リクルートは、これから新しい事業領域に進出しようとしているタイミングでした。特定の技術を深く研究するよりも、技術を世の中にどうアジャストしていくかを考えるほうが私にとっては面白そうだと感じ、入社を決意しました」

ただし、正直に言えば「楽しそう」という直感が大きかった、と小浜氏は笑う。しかしこの選択が、現在に至る彼のキャリアを大きく決定づけた。入社後、同社での小浜氏のキャリアは大きく二つに分かれる。前半はシステム開発がメインで、入社3年目には大型プロジェクトでリーダーを任されるなど、開発の最前線で「ものを作る楽しさと大変さ」を学んだ。

「自分の経験やスキルが不足している中でも、リーダーとして、しっかりと品質の管理をしなければいけません。いろいろな人の力を借りながらプロジェクトを前に進めるのが楽しかったですね」

その後、人事異動でメディア系の責任者に就任し、事業運営の道へ。システム開発からメディア系事業への転換は、小浜氏にとって転職したような感覚だったという。

「それまでは商品を作る仕事に携わってきましたが、今後は事業全体を見て判断する立場になりました。他の企業とのアライアンスを組んだり、中期ビジョンを考えたりといった仕事も多く、それなりに面白さはありましたが、個人的には、もっと「手触り感」のある仕事がしたいという想いも積み重なっていきました」


原動力は「楽しさ」。問題の解決策を考えることも面白い


自分が主体になって新しいことに挑戦し続けたい─。その想いが、小浜氏を起業の道に導いた。しかし実際のところ、起業という選択肢自体は、昔から頭の中にあった。前職は起業を志す社員が多く、同期内でも「誰が一番早く起業するか」と話すことも多かったという。しかし、目の前の仕事が面白く、それに夢中になっているうちに、思わず長く勤めることになったと小浜氏は笑う。

起業を決意した時に、小浜氏の中にあったのは「ITに携わりたい」「手応えがあることをやりたい」という想いだけ。「具体的に何をやるか」は後から固めていったのだという。そんな小浜氏を突き動かすモチベーションの源泉は、驚くほどシンプルだ。

「自分が楽しいと思えるかどうか。これがすべてです。商品やサービスを作っている時、その価値を誰かに認めてもらえた時、そして仲間と一緒に成長を実感できる時。そうした瞬間に楽しさを感じます」

もちろん、事業は楽なことばかりではなく、高い壁にぶつかることも多い。しかし「上手くいかなくても、次はこうしよう、と別の手を考えること自体が楽しい」と小浜氏は語る。その価値観は、FUTUREWOODSのバリューやカルチャーにも現れている。同社で働く上では、自分の頭でしっかりと考え抜かれているかどうかが何よりも重視されるという。

「私自身、考えることは昔から好きでした。ロジックツリーを頭の中で考えたり、モヤモヤしているものを整理して可視化する行為にも楽しさを感じます。理系として培ったロジカルシンキングは今でも活きている感覚がありますね」

株式会社FUTUREWOODS 代表取締役 小浜 勇人


ロジカルシンキングと、ユーザーに対する想像力が社会実装の鍵に


技術をビジネスの世界に実装することに面白さを感じて、大手情報サービス企業に入社し、現在もデータサイエンスの社会実装に取り組んでいる小浜氏。「どれだけ利用者の立場に寄り添えるかが社会実装の成否を分ける」と語る。

実例として、AIブームは過去に数度訪れているが、いずれも今ほどの盛り上がりには至らなかった。それは、どう使えばいいのか、どれだけ社会が豊かになるのか、利用者の目線でイメージしにくかったことが大きいと小浜氏は分析する。

だからこそ、FUTUREWOODSでは商品やサービスを開発する際に、ロジカルシンキングだけでなく想像力も同じくらい重視しているという。どのようなユーザーに、どのように使われるのか。ユーザーの利用シーンに思いを馳せるということだ。

「理系学生はロジカルに考えることが得意な人が多いと思います。それをいかに広げていくのか、つなげていくのか。それが、世の中にどういう意味があるのかを考えることが大切です」

理系的なロジカルシンキングと、ユーザーに対してどのように役立てるかという想像力。その両輪が、FUTUREWOODSの事業を支えているのだ。


可能性を拡張して考えることが、豊かなキャリアにつながる


小浜氏に理系学生へのキャリアのアドバイスを聞くと「選択肢を狭めず、広げて考えたほうがいい」という言葉が返ってきた。「自分の専攻を深めていくのも素晴らしいことですが、他の分野とどう繋がるのか、俯瞰すると何が見えてくるのか。例えば、一見して関係がなさそうな芸術などの分野と接続してみると、自分でも気づかなかった価値や楽しさが発見されるかもしれません」

自身の経験から、理系学生はロジカルに考えることが得意な人が多い、と小浜氏は言う。その強みを、自分の専門領域だけに閉じるのではなく、いかに広げ、社会における意味を見出すか。それがキャリアを豊かにする鍵だと小浜氏は考える。

「学生の皆さんは可能性の塊です。その可能性をふんだんに使ってほしいですね。閉じた世界の中だけで判断するのではなく、学生のうちにいろいろなものを吸収し、視野を広げていくことを楽しんでほしいです」

技術とビジネスの距離が急速に縮まる現代において、自身の専門性を持ち、それを社会へと接続する力を持つ理系人材の活躍の場は、ますます広がっている。小浜氏の歩みは、その無限の可能性を体現しているかのようだ。



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