クオンツ

クオンツとは

アメリカやイギリスでは1970年代から80年代にかけて、物理学や数学のプロフェッショナルが、徐々に金融の世界で存在感を増してきたと言われています。
彼らは高度な数学的知識と統計的手法を駆使して市場の動きや将来起こりうるリスクを数値化し、株式・証券の価格付けやさまざまな金融派生商品の開発・運用などのプロセスを、明確な理論のもとに体系化しようと試みました。
投資の課題に対するこのような手法は、計量分析(quantitative analysis)と呼ばれ、その専門家のことを「クオンツ(quant)」と言います。証券会社や銀行といった金融機関での実務を通じて 彼らが蓄積したファイナンスに関する一連の知識や理論は、現在「金融工学」という名で知られている学問の発展に、大きな貢献を果たしました。

日本におけるクオンツ

しばしば欧米に遅れをとっていると言われる日本金融。確かに日本ではクオンツという呼称もあまり一般的ではない上、そもそもその定義自体も曖昧なようです。とはいえ、金融の世界において数学的モデルに基づいた計量分析が重要であることは言うまでもありません。
実際多くの金融機関は、近年クオンツになりうる素質を持った理系人材の登用に積極的になっています。数学や統計学、計算科学などを多用する金融の世界では、理系バックグラウンドを持つ人間こそ活躍のチャンスがあるといえるのかもしれません。

クオンツの仕事とは

一口に「クオンツ」といってもその仕事内容は多岐にわたり、前述のように定義も各金融機関で微妙に異なりますが、一般的には「投資」に関するさまざまなリサーチを行う計量分析の専門家のことを「クオンツ」と呼んでいるようです。
クオンツは金融にかかわる様々な業態で活躍しており、銀行、信託銀行、生命保険、損害保険、証券会社、資産運用、ITコンサルティングなど、その業務フィールドは幅広い。
例えば証券会社におけるクオンツの仕事の一つは、債券やデリバティブなどを売る際どうすれば利益を最大化できるのかを 数学的・統計学的手法を駆使して分析すること。商品開発、リスク管理、資産運用、市場動向および企業財務の分析など、「投資」に伴う様々な課題を多角的な視点から計量的に解決していきます。その意味で、金融機関が利益を得る「仕組み」の、最も根本的な部分に携わる仕事といえるでしょう。
また、プログラミング技術を使って、こうしたプロセスを専門家以外でも利用できるようなシステムへと落とし込むのも彼らの重要な仕事です。それゆえ、クオンツとして働く上で高度なITスキルが必要になるというケースも少なくありません。

クオンツ志望者にオススメの本
物理学者、ウォール街を往く。

さて、ここまで簡単にクオンツという職業について説明してきましたが、もう少し詳しく知りたいという方にオススメなのが、『物理学者、ウォール街を往く。』(東洋経済新報社)という本。これは世界的なクオンツとして名高いエマニュエル・ダーマンの自伝で、もともと物理学者だった彼がAT&T社ベル研究所のエンジニア職を経て、ゴールドマン・サックスのクオンツへと転進していく様子が描かれています。金融業界を目指す理系の方にとってはなかなか興味深いキャリアの歩み方なのでは?
もっともダーマンの場合、必ずしも自分から望んで金融業界に進んでいったというわけではないようですが、少なくとも本書を読む限り、彼にとってクオンツが知的好奇心を刺激する魅力的な職業であるということだけは 間違いなさそうです。クオンツという仕事の面白さも難しさもすべて知りたいという方はぜひ一度手にとってみるとよいでしょう。