総合電機系、家電系、通信系、電機部品系など日本を代表するメーカーが多数
テレビやビデオカメラ、DVDプレイヤーを中心とするAV機器や洗濯機や冷蔵庫、掃除機、エアコンなどの生活家電、スマートフォン、パソコンといった情報通信機器、さらには多様な製品に搭載される有機EL・液晶パネル、半導体、電子部品など、幅広い製品の開発・製造を行う企業によって構成されている業界です。
日本を代表する有名企業が多く、総合電機系・重電系メーカーの日立製作所、三菱電機、東芝、家電系あるいはAV系メーカーとも呼ばれるパナソニック、シャープ、ソニー、コンピューター・通信系の富士通、NEC(日本電気)、カメラ・OA機器のキヤノン、リコー、セイコーエプソン、コニカミノルタ、電子部品メーカーの京セラ、日本電産、村田製作所などは世界的に知られている企業は少なくありません。
2010年代前半には中国・韓国系企業の成長もあって、かつて世界を席巻していた勢いに陰りが見えていましたが、不採算事業の整理が進んだことにより、2017年度には日立製作所、東芝、三菱電機、富士通、パナソニック、ソニーが過去最高純益となるなど、復調の兆しが見えつつあります。
AIやIoTが業界全体の好調を後押し。半導体市場はとくに大きく成長
好調を維持していたり、復調しつつある電機メーカーの多くは、不採算事業の整理に加え、自社の強みを活かした事業分野に経営資源を集中することで活路を見出しています。とくにAI(人口知能)を搭載した家電製品の開発、製造現場におけるIoTの活用を進める企業が目立っており、自動車や家電のAI化、IoT化が業界全体の好調を後押ししています。
中でもIoTに関しては半導体市場への恩恵が非常に大きく、世界半導体市場統計(WSTS)によると、2017年の世界の半導体市場は、前年比21.6%増、2018年も同12.4%増と2桁成長を続けています。さらに今後は自動運転で注目される自動車向けの半導体、5Gの本格導入が近づいている通信向けの半導体ニーズが高まると予測されています。
電機メーカー各社は得意領域に経営資源を集中し、独自の成長戦略を描く
日立製作所は同社が持つIT、OT(Operational Technology)、プロダクトの強みを活かし、デジタル技術を活用した社会インフラに注力すると発表しています。モビリティ、ヒューマン・ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野を成長分野と定めてリソースを集中させるとしており、具体的には鉄道関係や発電所といった領域での事業が活発化すると予測されます。
一方、パナソニックは2020年までにAIに携わる人材を1,000人に増やすと発表。2017年度末時点で300人以上の人材を確保しており、2018年度末には約500人、さらに増員のペースを上げることで1,000人体制を目指しているようです。
ソニーはスマートフォン向けや車載向けのイメージセンサーが好調であり、今後も同分野へ経営資源を集中させていくと考えられます。
三菱電機は電気自動車(EV)向けのパワー半導体、それらに必要なレーザーやセンサーなどの関連機器事業の拡大を進めているほか、工場の自動化・生産体制を高度化するFA(ファクトリーオートメーション)機器も好調を維持しています。また、IoT機器の普及によってセンサーや小型電池のニーズが高まっているため、多くの電子部品メーカーが成長分野と位置づけて積極的な投資を続けています。
電機・電子部品メーカーで求められる理系の専攻・スキル・知識
研究開発職や設計開発エンジニア、生産管理・生産技術、品質保証といった技術系職種に加え、マーケティングにおいて重要な役割を担う知的財産・技術営業など、電機・電子部品メーカーには理系人材が活躍できる幅広い職種があります。技術系職種については機械、電気・電子系学生へのニーズが高いことはもちろんですが、近年ではAI、ビッグデータ、IoT、画像認識、センシングといった技術を活用した製品の開発が活発に進められているため、同領域の知識を持った学生に対するニーズも高まっています。そのほか、素材開発から手がけている電機・電子メーカーなどでは化学系専攻の理系学生も採用されています。
一方、生産技術や品質保証、技術営業などの職種では専攻を問わず理系出身者を歓迎している企業が少なくないため、企業ごとの採用傾向を確認しておくとよいでしょう。
≪電機・電子部品業界売上ランキング≫
1位:日立製作所 | 6位:キヤノン |
2位:ソニー | 7位:東芝 |
3位:パナソニック | 8位:NEC |
4位:三菱電機 | 9位:シャープ |
5位:富士通 | 10位:リコー |
※2019年3月期
≪理系新卒採用実績がある電機・電子部品メーカー≫
株式会社日立製作所、パナソニック株式会社、ソニーグループ、三菱電機株式会社、日本電機株式会社(NEC)、日本GE株式会社、株式会社村田製作所、オリンパス株式会社、カシオ計算機株式会社、日本電産株式会社、富士ゼロックス株式会社、安川電機グループ、沖電機工業株式会社、キヤノン株式会社、太陽誘電株式会社、京セラ株式会社、株式会社キーエンス、シャープ株式会社、コニカミノルタ株式会社、ルネサス エレクトロニクス株式会社、株式会社リコー、株式会社ニコン、パイオニア株式会社、株式会社フィリップス・ジャパン、サムスン電子ジャパン株式会社、ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本株式会社) ほか
理系ナビ会員になると各種セミナーをはじめとした会員限定サービスをすべて無料で利用できます。