品質管理の具体的な仕事内容や業務のやりがい、新卒採用で求められる応募資格(学部・専攻など)や採用実績のある企業などを解説します。理系が活躍できる品質管理の魅力とは。
品質管理の仕事内容とは
メーカーにおいて完成製品の品質チェックを担う品質管理。単なる品質チェックにとどまらず、顧客の要求を満たす品質の製品を、合理的かつ経済的に生み出せる生産体制を構築することが品質管理のミッションです。メーカーにおいて「歩留まり(不良品でない製品の比率)向上」は至上命題であり、素材の性質、作業工程、生産設備、気温といった様々な要素を検討し、不良品が発生した原因を追及・分析することで歩留まり向上を目指します。
ISO9000シリーズなど国際規格に基づいた品質管理規定の策定・周知といった製品品質向上のための体制整備はもちろん、リスクマネジメントの担い手としてキャリアを積むことで、生産・製造工程にとどまらない全社を巻き込んだ品質向上プロジェクトをリードすることもあります。
また、品質管理は一般的に生産・製造工程において品質を守る仕事を指しますが、企業によっては製品の企画段階から製品出荷後までを仕事の対象とする「品質保証」と同一に扱うこともあります。
品質管理の仕事のやりがい
メーカーが不良品をリリースしてしまうと、クレーム処理にコストがかかるだけでなく、大規模なリコール、ブランド力の低下などによって、企業経営の根幹を揺るがす問題に発展することもあります。そうした事象が度々メディアで取り上げられる昨今では、多くの企業が製品の品質に対する意識を高めており、品質管理・品質保証を重要ポジションに位置付けています。そうした意味でも責任の重い仕事ですが、その分、製品が顧客やマーケットから高い評価を受けたときの喜びも大きく、品質保証本来のやりがいを感じられるはずです。
品質管理に求められる専攻・スキル・知識
機械、電気製品を扱うメーカーでは工学系出身者、化粧品や食品、薬品メーカーでは化学系、生物系など理学系出身者の活躍が目立っています。学部、修士どちらを応募資格とするかは企業によって異なりますが、学部卒の採用も少なくありません。スキル面に関しては、リスクを想定して問題点を見つけ、論理的に解決する能力や原因と結果の因果関係を見極める能力が必要となるため、理系で培われた論理的思考力を発揮しやすい職種であると言えます。
また、前述のように統計的品質管理の業務領域もあるので、統計について学んだ経験を活かせるケースもあります。さらに言えば不良品の発生要因は多岐にわたるため、生産・製造現場だけではなく、研究開発や設計・開発、資材調達・購買など、様々な部門との調整・折衝を行うためのコミュニケーション力が必要であり、海外拠点や海外サプライヤーとのやりとりが発生するグローバル企業においては英語力も重視されます。
品質管理は理系の力を活かせるフィールド
品質管理の仕事には、統計的手法によってデータの収集や解析を行い、品質管理や工程改善を推進していく統計的品質管理(Statistical Quality Control:SQC)が用いられています。一つ一つの製品の品質ではなく、生産工程全体(材料・機械装置・作業・製品)を対象として品質特性を測定し、その分布(ばらつき)を見て管理を行うというのが基本ですが、相関分析・回帰分析、実験計画法、多変量解析法といった様々な手法が用いられており、理系の数理的知識を活かせる仕事とえいえるでしょう。
品質管理において出身者が多い学部学科
品質管理では、製品に関する領域を専攻している理系出身者が活躍しています。機械、電気製品を扱うメーカーでは工学系、化粧品や食品、薬品などでは化学系、生物系といった理学系が多く活躍している傾向があります。
品質管理の採用実績がある企業
日立グループ、パナソニック株式会社、富士通グループ、NECグループ、ソニーグループ、日清製粉グループ、アサヒビール株式会社、ロッテグループ、三菱電機株式会社、トヨタ自動車株式会社、株式会社東芝、本田技研工業株式会社、ジョンソン・エンド・ジョンソン、新日鐵住金グループ、日本製紙株式会社、セイコーホールディングスグループ、横浜ゴム株式会社、株式会社IHI、ヤマハ発動機株式会社、株式会社SUBARU、株式会社ワコール、シチズングループ、ヤマハ株式会社 ほか多数
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