確率論・統計学といった数理的手法を駆使し、保険や年金に関わる諸問題の解決に取り組む数理領域のプロフェッショナル“アクチュアリー”。数理能力を活かせる仕事として、理系学生からの注目が高まっていますが、アクチュアリー正会員となるには資格試験に合格する必要があり、そのハードルは決して低くありません。そんなアクチュアリー試験の合格をめざし、社会人から学生まで多様な会員が集まって勉強ノウハウの共有や試験対策に取り組んでいるのが、「アクチュアリー受験研究会」です。アクチュアリー受験研究会のメンバーとして運営などに携わっている一丸さんに、その取り組みについて聞きました。


――アクチュアリー受験研究会の取り組みについて聞かせてください

アクチュアリー受験研究会の主な活動内容は、ウェブサイトでの情報発信と毎月開催している勉強会です。ウェブサイトでは先輩たちの勉強法や過去問解説など、試験対策に役立つ様々な情報が集約され、新しい情報も常に追加・更新されています。また、掲示板では、問題の解き方やおすすめの参考書を質問したり、会員同士で交流したり、と多くの会員に活用されています。

勉強会は関東と関西で毎月実施しており、社会人から学生まで、様々なメンバーが集まり勉強しています。最近はオンラインでも参加でき、地方在住の方も参加しやすくなりました。あらかじめサイトに問題をアップして、解き方を皆の前で発表するというスタイルが多く、自分の解答手法の幅を広げられます。

12月の資格試験に向けてその年の3月(関西は5月)から勉強会が始まり、9月までに課題範囲を終えて、以降は演習問題に取り組むなど試験に向けたペースメーカー的な存在にもなるかと思います。周囲の進み具合や頑張り具合がわかるので、モチベーション維持にもつながりますよ。

また、正会員の方やアクチュアリー界隈でも著名な方が顔を出すこともあるので、人脈作りにも役立ちます。私も正会員になってからも2次試験の勉強会に参加しており、受験生にアドバイスをしつつ自分の研鑽にもつなげています。「もっと勉強したい」という方も少なくないので、定例の勉強会に加えて有志メンバーでの勉強会をやっているメンバーもいます。

――アクチュアリー受験研究会の目的は?

アクチュアリー試験は体系的にまとまった参考書が少なく、一人で勉強するのは非常に大変です。試験に合格するのは長期戦になるので、「仲間と一緒に勉強し、後輩のための受験情報も蓄積していく」ことでアクチュアリー志望者を応援したいというのが研究会のコンセプトです。先輩達が蓄積してきたノウハウを活用できるので、いまから勉強を始める方は効率的に試験対策を進めることができるでしょう。

私自身も、学生時代にアクチュアリー試験の対策を始めた際に非常に苦労しました。当時は年度ごとの過去問をまとめた書籍はあったのですが、結構な値段なので一つの科目だけ過去問を見たい場合に不便でした。また、解説も充実していたわけではなかったので、わかりにくかった記憶があります。情報共有できるアクチュアリー志望の仲間もいなかったので、勉強の進め方についても、どこから取り組めばいいのかわからず、戸惑ったものです。

――そういった課題に感じていた部分をアクチュアリー受験研究会で解消できる

一番大きいのは、「どのように勉強をすればいいのか」がわかること。ウェブサイトには、よく使う公式や教科書の抑えるべきポイントがまとまっており、先輩たちが蓄積してきたノウハウを活用できます。試験対策のノウハウは毎年洗練されていて、私も過去問を出題分野ごとに分類したワークブックの制作に取り組みました。このワークブックは、苦手分野の問題をひたすら解くことで対策でき、その後も解答解説を他のメンバーが作成してくれたので、さらに充実した内容になっています。

最近ではさらに、無料のメルマガを発行する方が出てきたりと、情報発信の方法も多様化しています。私が学生だった時と比べると、『合格へのストラテジー』や『合格へのタクティクス』といった参考書や問題集も充実してきていますが、正直アクチュアリー受験研究会で得られる情報だけでお金をかけなくても相当勉強できると思います。

もう一つ、「仲間づくりができる」という点も非常に大きな魅力だと感じています。一緒に試験合格を目指して切磋琢磨し、就職活動の際に情報交換をし合える仲間がいるのは非常に心強く、勉強や就活のモチベーションが上がります。勉強会後は懇親会を実施することもあるので、そういった仲間と交流を深められるのではないでしょうか。

――アクチュアリーに関心のある方へメッセージをお願いします

アクチュアリーは活躍フィールドが広がり続けている可能性の大きな仕事だと感じています。国際的なリスク管理の専門資格『CERA』の保有者が100人を超えるなど、近年は保険だけでなくあらゆる企業でアクチュアリーの持っているスキルが求められています。今後も活躍の場が広がっていく有望な仕事だと思いますので、もっと多くの方にアクチュアリーを目指してもらいたいですね。

アクチュアリーに少しでも興味がある方は、ぜひメンバー登録して、勉強会にも参加してください。「アクチュアリーについて知りたい」といった方の参加も歓迎していますので、事前知識のない初心者の方も、まずは一度見学に来てみてください!

プロフィール

一丸全人

一丸全人さん
日系生命保険会社でアクチュアリーとして活躍。その後日系コンサルファームに転職し、日々の業務を行いながら、アクチュアリー受験研究会のメンバーとして運営に参加

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