就活生だけでなく、新卒採用を行う企業側の活用も進んでいる「スカウト型新卒採用/逆求人就活サイト」。「効率的に就活を進められる」「専門性を活かせる意外な企業と出会える」といったメリットを聞いたことがある方もいるかもしれませんが、逆求人サイトの特性や注意点なども理解しなければ、十分に活用することはできません。本記事「理系就活生のためのスカウト型就活 徹底活用ノウハウ」では、理系学生と企業双方の注目が高まっているスカウト型/逆求人型新卒採用サービスの特徴やメリット、デメリットを解説します。
目次
【1】スカウト型新卒採用(逆求人就活)サービスとは
【2】スカウト型就活サイトのメリット/デメリット
【3】理系学生にスカウト型就活がおすすめの理由
【4】代表的なスカウト/逆求人サイトの特徴・比較
【5】スカウトメールをもらえない学生の特徴/理由
【6】人事視点によるスカウト登録情報の評価ポイント
【7】まとめ
スカウト(逆求人/ダイレクトリクルーティング)型就活とは、就活生が就活サイトに自己PR情報や希望職種/業界などを登録しておくことで、企業からスカウトメールが届くスタイルの就活サービスです。
従来の就活サイトにおけるダイレクトメールとの大きな違いは、採用担当者が一人ひとりの登録情報(自己PRや研究テーマ)をしっかりチェックしたうえで、個別にメッセージを作成しているという点です。近年は、特定領域の専門性を持った理系学生をピンポイントで採用したい企業や、自己PRから自社にマッチする素養を持った人材を見極めてオファーしたいといった企業のニーズが増加傾向にあります。
スカウト型就活サービスを利用するメリット
1.企業と就活生がマッチする可能性が高い
以前から、就活サイトに登録している学生に企業からメッセージ(メール)が届くサービスはありましたが、多くはターゲット学生の条件(専攻や志望職種)を設定して一斉に送信するダイレクトメールでした。そのため、企業からメッセージを受け取ったとしても、書類選考で落とされるというケースも少なくありませんでした。
一方で、スカウト型(逆求人型)就活サイトは、人事担当者が一人ひとりのプロフィール情報をチェックして、興味を持った学生に対して個別に文面を作成してメッセージを送っているため、書類選考や面接突破の可能性は高く、マッチングの精度が高いサービスといえるでしょう。
100%次の選考ステップに進めるという保証があるわけではありませんが、一般の応募ルートなどに比べると選考通過の可能性が高く、効率的に就活を進められます。
2.自分では想像していなかった企業と出会える
世の中には膨大な数の企業が存在しているため、自分にマッチしそうな企業をすべてリストアップすることはほぼ不可能です。理系学生においても、自身の専門性やスキル、研究経験を活かせる意外な企業は多数存在しており、新卒スカウトサービスに登録することで、自身の専門性や経験を求めている意外な企業と出会える可能性があります。
3.早期に内定を獲得できる可能性も
近年の就職活動はスケジュールが複雑化しており、どの企業がいつ動いているのかが分かりにくいのが現状です。スカウトサービスを中心に採用活動を行っている企業も同様で、そういった企業はスカウトオファーを受け取って初めて選考活動がスタートしている事実を知れるというケースもあるでしょう。
また、新卒スカウト採用では、一般的な選考ルートでは必須となっている選考プロセス(説明会参加、WEBテストなど)をスキップできるケースもあります。そのため、一般的な採用ルートよりも早期に内定を獲得できるケースもあるようです。
スカウト型就活サービスを利用するデメリット/注意点
1.利用企業の業界/採用職種に一定の傾向がある
近年、スカウト型採用を行う企業は増加傾向にありますが、あらゆる業界/職種を網羅できているわけではありません。理系採用について言えば、ITエンジニア系の職種や、メーカー系では特定の専門性を持った技術系職種(研究職や開発エンジニアなど)の採用が比較的多くみられます。
スカウトサービスを利用している企業の規模や採用スタンスについても傾向があり、ベンチャーや中小の少人数採用はスカウト型採用との親和性が高い一方で、採用人数の多い大手企業は採用活動の方針や対応工数の問題でスカウトの活用が難しいケースがあります。
自分の志望業界や職種が明確な場合は、その領域の企業が新卒スカウト採用サービスを活用しているかどうか、チェックしておく必要があります。
2.プロフィール情報の入力が不十分な場合、スカウトが来ない
スカウト型登録サービスに登録したすべての学生に多数のスカウトメッセージが届くわけではありません。高度な専門性や知識を有していても、PRの書き方や情報登録の仕方が良くないために、人事担当者の目に留まらないというケースも散見されます。
また、サービスによっては自己分析テストや試験を受けることで、より登録情報が洗練されるものもあります。スカウトサービスでは、多くの入力項目を埋めてプロフィールを充実させるほど、スカウトオファーを受けやすくなります。
多少手間はかかるものの、自己分析を通じて自分の強み、企業が求めているスキルなどを整理し、自己PR/登録情報を洗練させていきましょう。
前述したスカウト型就活サービスの利用メリットをまとめると、下記のような理系学生におススメといえます。
日々の研究が忙しくて就職活動に割ける時間が限られている理系学生にとって、企業側からアプローチが来るスカウト型就活は効率的なスタイルといえます。さらに、「専門性」を求める企業だけでなく、プロフィール情報を読み込んで人物重視でのアプローチを行う企業もあるため、自分だけでリサーチしていては出会えなかった幅広い企業と出会えるチャンスもあります。
とはいえ、デメリットで上げたように、魅力的な企業と出会う確率を上げるためにはプロフィールをしっかり記入する必要がありますし、スカウト採用を行う企業の属性・傾向などは注意しなければいけません。
スカウト型就活サービスを提供・運営している企業は複数あります。国内ではOfferBoxが最大手となっていますが、その他にも機能や利用企業の属性(業種)などで特色を持った逆求人サービスも複数あります。志望業界や、自身の属性なども踏まえて自分に合ったスカウトサービスを活用しましょう。
OfferBox (オファーボックス ) |
株式会社i-plug(アイプラグ)が運営している逆求人サイトOfferBox。スカウト型就活サービスの国内最大手で、大手からベンチャーまで8,473社が利用。一般的なプロフィール情報に加え、自分らしさをアピールする写真・動画の登録や適性診断の結果も登録できる。 |
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dodaキャンパス | ベネッセホールディングスとパーソルキャリアの合弁会社である株式会社ベネッセi-キャリアが運営している逆求人サイト「dodaキャンパス」。6,200社を超える企業が利用しており、登録就活生のスカウトオファー受信率が98%と非常に高いところが特徴。キャリアアドバイザーによる就活サポートも。 |
キミスカ | 株式会社グローアップが運営している逆求人サイト「キミスカ」。適性検査の結果から検索できる項目が充実しており、学生と企業のマッチング精度が高いのがPRポイント。上位校の学生利用が多く、約半数がGMARCH・国公立以上となっています。就活コンサルタントのサポートサービスがあるほか、受験企業の選考途中で落ちてしまっても、その実績情報が他の企業からも見ることができ、評価につながります。 |
アカリク | アカリクは大学院生に特化した就活サイトで逆求人サービスも有しています。研究内容をPRすることで専門性を求める企業からアプローチが来る可能性があります。大手逆求人サービスほど利用企業は多くはないですが、メーカー・ITの研究職やエンジニア系の新卒採用をピンポイントで行っている企業が利用しています。 |
ラボベース (LabBase) |
理系学生に特化した逆求人型サイトラボベース(LabBase)。利用企業は研究キーワードの他、プログラミングスキルなどで自社にマッチする学生を検索します。こちらもメーカーやITの研究職やエンジニア系で専門性を期待して新卒採用を行っている企業が利用しています。 |
TECH OFFER (テックオファー) |
理工学、計算科学系に特化したオファー型就活サイト。専門技術や研究で培われた技術的素養や理系能力を求めている企業との出会いを独自のシステムで最適化。技術キーワードでのマッチが難しい場合でも経験やパーソナリティからのマッチングも可能。 |
理系ナビ (スカウトオファー) |
理系ナビは通常の就職情報サイト機能に加え、逆求人サービスも備えています。理系の専門性を求めているメーカー、ITだけでなく、理系的素養を求めている意外な業界/企業(金融、コンサル、商社、出版など)も利用しており、「理系の専門性を活かしたい」という方だけでなく、「様々な可能性を見てみたい」という理系学生にもおすすめです。 |
前述したように、スカウト型登録サービスに登録したからといって、すべての学生が多くのスカウトメールを受け取れるわけではありません。どういった学生が人事担当者の目に留まりづらい、スカウトオファーを貰いにくいのか、その傾向を解説します。
1.プロフィール欄が未記入または、記入内容が少ない
学生が就活サイトで企業を検索するのと同様に、企業の人事/採用担当者も自社が求めている学生をスカウト型新卒採用サービス内で検索します。その検索結果画面では学生の大まかなプロフィール情報が表示され、その内容を見て「自社にマッチしそうな人材であるか」をチェックしていきます。その際、プロフィールの入力情報が少なければ関心を持たれる可能性は当然低くなります。ですから、自己PRやガクチカ、研究テーマなど、スカウトサイトに用意されているテキスト入力項目はできる限り埋めていきましょう。
また、志望職種/業界や勤務地、保有資格といった登録項目もしっかり入力(チェック)することで、企業の検索にひっかかる可能性は高まります。
2.専門領域のキーワードが記載されていない
特定領域の専門性を期待する人事担当は、ターゲットとなる専門領域のキーワードから理系学生を検索します。そのため、同領域の研究に取り組んでいたとしても、検索対象となるキーワードがプロフィール欄にしっかり記載されていなければ検索に引っかかりません。
また、それと関連して専門領域のキーワードは、できるだけ一般的な表記で記載することも推奨します。一部界隈や研究室のみで用いられている用語表記ではなく、ビジネス現場でも用いられている表記にすることで、人事の目に留まる可能性を上げることができます。
3.誤字脱字が多い
基本的なことですが、入力テキストに誤字脱字が多いと「提出する際に内容の確認をできない人」という印象を人事担当に与えます。ビジネスでは、メールの宛先間違いによる機密情報漏洩や、発注個数の桁間違えといったミスは致命的であり、誤字脱字(ミス)が目立つ人材にあえてオファーをしようとは思わないでしょう。提出時は一呼吸おいて、再度内容をチェックしましょう。
4.文章がわかりにくい
専門用語が多すぎる、説明が論理的ではない、本筋でない情報が多くて論点がすり替わっている――読み手に伝えるべき情報を整理し、誰が読んでもわかりやすい文章制作を目指しましょう。自己PRなどの文章がわかりにくかったり、内容がまとまっていないと、そこから「話が冗長そう」「独りよがりな会話の進め方をしそう」「相手に伝える努力ができなさそう」という印象を与えかねません。企業の担当者は一度に多数の自己PRを読む必要があるため、文章がわかりにくいと途中で読むことを諦めてしまうこともあります。
自己PRなどを作成したら、友人などに読んでもらい、わかりやすいかどうかを確認してもらいましょう。
企業の人事担当者はどのような情報を重視して登録者のプロフィール/登録情報をチェックしているのかを解説します。理系学生の皆さんがすぐイメージしやすいのは、理系として培った「専門性」が挙げられます。もちろん専門性に関連するキーワードで学生を検索するケースも多いのですが、それに加えて、理系として培った「基礎力」をチェックしたいという企業・担当者も少なくありません。
企業が求める理系学生の「専門性」
企業が求める理系学生の「基礎力」とは
などを重視する企業が多いです。いわゆる“文系就職”の選考現場では、文系学生のロールモデルをベースにした自己PRを嫌というほど読んでおり、それだけで不合格にすることはないまでもやや食傷気味であることは確かです。
企業は「理系学生に何を期待しているのか」を理解し、適切な情報をアピール出来たほうがスカウトを貰いやすくなります。理系学生は自身の強み(武器)を理解し、しっかりPRしていきましょう。
■エピソードを通じて知りたいのはWhatよりもHowとWhy
学生のポテンシャルを評価することの多い新卒採用では「何に取り組んだか(What)」よりも「どう取り組んだか(How)」「なぜ取り組んだか(Why)」が評価されます。自己PRやガクチカで多いのは、「サークル活動」「留学」「アルバイト」といったWhatの説明に終始してしまい、「どう取り組んだか」「なぜ取り組んだか」が見えてこないケースです。
HowやWhyはその人の行動特性と意思決定プロセスを知るうえで重要な素材となり、「自社でも活躍できるか?(=再現性があるか)」を確認しやすい情報なのです。ですから、エピソードを考える際は、Whatを厚く記載するのではなく、HowとWhyを深堀りしましょう。
「学業が忙しく中々就活に時間を割けない」「自身の専門性や強みが明確である」といった理系就活生にとって、スカウト型就活サービスはお勧めできるツールといえます。その一方で、志望業界・企業や自身の就活スタイル次第では、その他のアプローチもバランスよく取り入れたほうがいいというケースもあるでしょう。それぞれのメリットデメリット、自分の就活スタイルとの親和性などを考慮して、就活を進めていくことが大切です。
理系ナビでは、スカウト型就活と、自身で企業を探す通常の就活サイトの機能をいずれも有しているので、活用してみてください。スカウトオファーサービスは、秋以降から活用する企業が増えてくるので、その前に「理系ナビ会員マイページ」 からプロフィール情報(自己PRや研究テーマなど)をしっかり記入し、企業からスカウトメールを受信しやすい状況にしておきましょう。
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