理系就活の学校推薦とは


理系就活の代表的な特徴として『学校推薦(大学/学科/研究室/教授推薦)』を活用する理系学生が多いことが挙げられます。とはいえ、学校推薦の流れや時期、活用のメリット/デメリットなどわかりにくい点も少なくありません。本記事では「そもそも学校推薦とは?」「教授推薦の受け付け開始時期は?」「推薦を使っても落ちることはある?」といった疑問に答え、理系就職における学校/教授推薦の活用法について解説します。

※理系就活における推薦は学校推薦、学科推薦、教授推薦、研究室推薦、大学推薦など大学によって呼称が異なるケースがありますが、本記事では総称として学校推薦と記載しています。


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学校推薦とは(大学/学科/研究室/教授推薦)

理系の就職活動における企業への応募方法は「自由応募」と「推薦応募」の二つに大きく分けられます。自由応募とは、学生自身で各企業の採用サイトや就活情報サイトから応募したい企業を探し、エントリーする応募手法です。一方で、「推薦応募」は大学(学科/専攻、教授)に寄せられた推薦求人の中から応募企業を選び、就職担当者や教授に書いてもらった推薦状を添えてエントリーする手法です。推薦を利用して就職活動を行う理系就活生の割合は近年減少傾向にありますが、理系ナビ2022会員では26%が推薦を利用(うち後付推薦11.7%)しています。(専攻や研究室によって推薦の割合は大きく異なる場合があるので参考まで)

企業から見れば、学校推薦の学生は『学校や教授の“お墨付き”がある優秀な学生』という認識なので、自由応募と比較して合格率が高いというのが大きなメリットです。とはいえ、誰でも推薦を利用できるというわけではなく、大学(学科、研究室)内での選考・選抜が行われたり、内定獲得後に辞退が難しいといった点は注意しなければいけません。


学校推薦の実施時期と流れについて

大学による学校推薦の説明会や概要公開は学部3年/修士1年の12月頃から行われる大学が多く、学内での推薦制度についての説明会参加や学内選抜・選考などを経て、企業への推薦が行われます。年末年始頃から求人票を公開して応募を受け付ける大学もあるなど、大学によって推薦の受付時期や期間は異なるため、在籍大学のキャリアセンター、就職課、担当教授などに必ず確認しましょう。

推薦を利用した就職活動スケジュールの注意点としては、自由応募就活の早期化が挙げられます。近年では企業の選考試験や内定出しの早期化が進んでいて、学部4年/修士2年の6月には自由応募での採用活動がほぼ終えている企業が増えています。ですから、推薦応募による就活の結果が芳しくなかった場合、そこから自由応募で就職活動を進めるのは難しいのが実情です。学校推薦の合格率が高いとはいえ、100%ではない以上、並行して自由応募での就職活動も並行して取り組んだ方が無難といえるでしょう。


教授推薦(研究室推薦)とは

研究室の教授が特定の企業に強いコネクションを持っている場合は“教授推薦”が可能なケースがあります。研究室単位で特定企業への推薦枠が設けられている場合もあれば、教授の個人的な“コネ”を活用して学生を企業に推薦する場合もあります。

教授推薦は研究室に所属している学生の専門性や知識が企業の採用ターゲットになっていて、過去の採用実績も豊富な場合が多く、その他の推薦ルートと比べても合格率が高い傾向にあります。教授推薦は、具体的なスケジュールや採用枠がしっかり決まっていなかったり、学生に公表されていないケースもあるので、教授推薦を利用したい場合は担当教授に相談してみるといいでしょう。


学校推薦の合格率、効力について

過去の就活バブル期など、「学校推薦を使えば合格は確実」という時代もあったようですが、近年は学校推薦でも採用選考で落ちることは決して珍しいことではありません。学校推薦の合格率は、自由応募と比べると高いのは間違いないのですが、応募企業や学生の所属(大学、学部学科、研究室など)によってかなり差があります。「A研究室からX社への教授推薦はほぼ合格」といったケースがある一方で、「B大学からY社への学校推薦は半分以上落ちる」といった事例があるのが実情です。同じ大学でも推薦先の企業によって合格率はかなりばらつきがあるので、「推薦を使えば就職活動は楽勝」と過信することなく、担当教授や就職課、キャリアセンターに過去の推薦実績・合格率を確認するなど、事前に調べて就活準備をしておきましょう。

また、一部の大学では学校推薦を利用する場合、自由応募を並行で進めることを推奨していないところもあるようですが、前述のように推薦応募の合格率が100%でない以上はリスクヘッジのために自由応募も併用する事をおすすめします。


学校推薦の内定辞退

内定辞退の法的な拘束力はないものの、学校推薦で内定した場合の辞退は推奨できません。なぜなら、企業側としては推薦された学生は第一志望であることが前提となっており、さらに大学からのお墨付きがあるという認識だからです。

万が一、内定辞退が発生してしまった場合、企業と大学(研究室・教授)の関係性への悪影響は避けられないでしょう。場合によっては翌年以降の推薦枠の取り消しや、後輩学生たちの選考への悪影響といったケースも起こりえます。ですから、学校推薦を利用する場合は第一志望企業として応募して後悔しないか、しっかり考えたうえで活用して下さい。


後付け推薦とは

自由応募でエントリーした企業の選考が進んでから「推薦状」の提出を求められるケースがあります。これは「後付け推薦」と呼ばれる手法です。企業側からすれば自社への志望度の高さを確認したいという思惑がありますが、学生側の立場としては最終的な志望意思が固まってなければ、推薦状提出時期の猶予をもらうなど、対応の仕方を考える必要があります。


学校推薦の選考対策は必要か

推薦を利用するメリットの一つは、一部の選考プロセス(エントリーシートやグループワーク、一次面接など)が免除されるケースがあるという点です。一部の選考試験が免除されるのに加え、学校推薦は合格率が高いと言われているため、「選考対策はしなくてもいい」と考える理系学生がいますが、この考えは危険です。エントリーシートや面接といった自由応募でも実施される選考プロセスが学校推薦でも行われることは多く、これらは一定のトレーニングが不可欠です。例年、学校推薦で面接練習をほとんどせずに本番に臨み、失敗したという学生がいますが、面接やエントリーシートにおいて事前に準備した学生とそうでない学生の差は一目瞭然です。準備不足で臨んだ学生は志望度に疑問を抱かれかねません。

また、学校推薦は企業の選考に進む以前に大学内(学科、研究室)での選考や選抜が行われるので、志望企業の推薦枠を勝ち取るためには、これまでの成績や教授からの評価が非常に重要となります。学校推薦を活用したい場合は、日々の学業や研究で一定の評価を得ることが不可欠なのです。


学校推薦のメリットとデメリット

≪メリット≫

・自由応募と比べると学校推薦の合格率は高め
・一部の選考プロセスが免除される場合がある

≪デメリット≫

・学校推薦で得た内定は基本的に辞退できない
・推薦で応募できるのは大学や研究室に寄せられた企業からの求人のみ
・学校推薦を利用する場合、自由応募の活動について大学から制限を求められるケースも
・学校推薦でも選考に落ちる可能性があるので注意が必要

自由応募と比べると学校推薦は合格率が高めという点は、非常に大きなメリットであるといえますが、一方で選考辞退をしにくいというデメリットは特に注意が必要です。志望企業や就職活動の状況をしっかり考えたうえで学校推薦のメリット、デメリットを把握して活用してください。


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