建築・不動産業界《メーカー》理系ナビ業界研究


IoT、AIなど、建築・不動産業界でも進む先端テクノロジーの活用。

デベロッパー、ゼネコン、メーカー、仲介など、多様な業態が存在

日本のあらゆる産業の中でもトップクラスの売上規模を誇っている建築・不動産業界の裾野は非常に広く、多様な業態の企業から構成されています。土地の仕入れを行い、仕入れた土地をもとに商業施設やビル、マンション、リゾート施設などを開発する開発業者(デベロッパー)では、三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングスなどが代表的な存在です。

マンションやビルに加え、空港や鉄道の建設、橋やトンネルなどの土木工事も担う総合建設企業(ゼネコン)では、大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設、竹中工務店が他社を圧倒しており、スーパーゼネコンと呼ばれています。スーパーゼネコンに続く準大手ゼネコンでは、長谷工コーポレーション、前田建設工業、熊谷組が有力です。NTTファシリティーズや日建設計といった設計に特化した設計会社もあります。

マンションや戸建住宅の設計・施工・販売を行うハウスメーカーでは、大和ハウス工業、積水ハウス、飯田グループホールディングス、一条工務店などが業界をリードしています。トイレやキッチン、バス、シャッターといった設備を専門に扱う住宅設備メーカーとしてはLIXIL、TOTO、YKK AP、パナソニックが有力です。パナソニックは総合電機メーカーのイメージが強いですが、2017年にパナホームを完全子会社化するなど、戸建住宅や住宅設備、リフォームといった領域でも幅広い事業を展開しています。

これらの業態以外にも、物件の売買・賃貸を仲介する不動産仲介業者、不動産物件の管理をする管理会社も数多く存在しており、それぞれの会社が連携して建築・不動産関連事業を進めています。


不動産大手は海外進出に意欲的。ゼネコン需要は2020年以降も継続か

2014年以降、都心部のオフィスビル建設や投資家によるマンション投資案件の影響もあって不動産バブルが発生していましたが、2020年の東京オリンピック以降は落ち着きを見せると予想されており、大手デベロッパーなどを中心に海外展開に注力する動きが見られます。三井不動産は営業利益3,500億円のうち3割を海外事業で得るという目標を掲げて欧米でのビル・商業施設の開発に力を入れているほか、商業施設「ららぽーと」のアジア展開を加速させています。三菱地所もアメリカとイギリスに次ぐ第3の柱を作るべくアジアでの開発を進めており、一度は海外投資からほぼ撤退していた住友不動産もインド・ムンバイでオフィスビル用地を取得するなど、海外展開に取り組んでいます。

ゼネコンに関しては、都市部の再開発に加え、高度成長期に整備された公共施設やインフラの老朽化対策のための維持修繕工事・メンテナンス需要が増えると予想されています。そのため東京オリンピック以降も受注額が大きく減ることはないと考えられていますが、熟練技術者の高齢化などによる人材不足が表面化しており、ロボット活用や工法改善などによる生産性向上が喫緊の課題となっています。

少子高齢化による住宅市場の先細りを懸念するハウスメーカー各社でも、ゼネコンと資本業務提携を結び、商業施設と住宅を一体化して開発するプロジェクトや、海外事業の強化など、様々な取り組みが進められています。


コンテックや不動産テックなど、先端テクノロジーの導入も進む

国内の建築・不動産業界ではICTやAI、IoTといった先端テクノロジーの導入を進めることで、業務の効率化や人手不足問題を解消しようとする機運が高まっており、建設(Construction)とテクノロジーを掛け合わせた「コンテック」や、不動産とテクノロジーを掛け合わせた「不動産テック」といった領域が注目されています。

国土交通省では、建設現場へのICT導入を推進する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」というプロジェクトを立ち上げており、ICTや3次元データを活用することで、2025年までに建設現場の生産性を2割向上させるという目標を掲げています。具体的には建設現場へのドローン導入や3次元測量データによる設計・施工計画といった取り組みが進んでいます。不動産業界では物件の内覧をVR(仮想現実)で行うシステムが導入され始めているほか、空き部屋にセンサーを設置することで温度や湿度、騒音、照度などを計測して部屋の価値を算出するIoTシステムが登場するなど、先端テクノロジーを活用した様々な取り組みが行われています。


建築・不動産業界で求められる理系の学部/専攻・スキル・知識

建築・不動産業界の新卒採用職種は非常に幅広く、設計職(意匠設計、構造設計、設備設計)、施工(建築施工、設備施工)、土木(土木施工、土木設計、土木機械・電機)、エンジニアリング、都市開発、技術開発、研究職などで理系人材が求められています。

業界の特徴として建築・土木系を専攻する学生へのニーズが高い傾向があるものの、設備やエンジニアリング、土木機械・電機に関連する職種では、機械系や電機系専攻の人材が歓迎されます。また、近年では建築・不動産業界でもAIやIoT、自動運転といった先端テクノロジーの活用が進んでいるため、情報・通信系を専攻する学生や統計解析の知識、プログラミングのスキルを持った人材を求める企業も増えています。

総合職や営業、マーケティング、事務系職種については、学部/専攻を問わず理系を歓迎している企業が少なくないので、採用情報を確認してみましょう。


≪建築・不動産業界売上ランキング≫

1位:大和ハウス工業 6位:清水建設
2位:積水ハウス 7位:大成建設
3位:大林組 8位:大東建託
4位:鹿島建設 9位:飯田グループホールディングス
5位:三井不動産 10位:住友林業

※2019年3月期


≪理系新卒採用実績がある建築・不動産業界の企業≫

株式会社関電工、東急建設株式会社、大和ハウス工業株式会社、積水ハウス株式会社、TOTOグループ、タマホーム株式会社、長谷工グループ、三井住友建設株式会社、ミサワホームグループ、株式会社奥村組、清水建設株式会社、株式会社九電工、株式会社熊谷組、大成建設株式会社、鉄建建設株式会社、前田建設工業株式会社、株式会社NIPPO、住友林業株式会社、株式会社大林組、西松建設株式会社、鹿島建設株式会社、株式会社竹中工務店、株式会社NTTファシリティーズ、株式会社一条工務店、株式会社LIXIL、YKKグループ、パナソニック ホームズ株式会社、野村不動産株式会社、三井不動産株式会社、住友不動産株式会社、大東建託グループ、森ビル株式会社、三菱地所株式会社、東急不動産株式会社 ほか

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