ものづくりの現場を支える多種多様な企業で構成される機械メーカー
機械業界は一般的には産業用ロボット、工作機械、建設機械などを扱う業界を指し、大きなくくりでは大型産業機械、船舶、航空機、ロケット、鉄道、戦車、戦闘機などを開発する総合重機も含まれます。三菱重工業やIHI、川崎重工業、住友重機械工業といった大手総合重機メーカーはいずれも造船業からスタートし、その後に発電設備や大型鉄鋼建造物、社会・交通インフラ、航空・宇宙・防衛などに事業を拡大してきました。
産業用ロボットは製造現場や建築現場で使用されるロボットであり、自動車溶接などに使用される多関節ロボットと電子部品をプリント基盤に載せる電子部品実装機に大別されます。多関節ロボットではファナック、安川電機といった国内メーカーに加え、KUKA(ドイツ)、ABB(スイス)といった外資系メーカーが有名です。電子部品実装機についてはパナソニックやFUJIが大きなシェアを持っています。
工作機械は自動車や航空機、電子部品を加工する機械であり、機械を作るための機械であるため「マザーマシン」と呼ばれることもあります。国内メーカーではDMG森精機、ヤマザキマザック、オークマの大手3社が有力です。とくに業界首位のDMG森精機は世界最大級の工作機器メーカーグループとして知られており、マイクロソフトとIoT開発で協業しています。
建設機械は文字通り建設に使用される機械であり、油圧ショベルやブルドーザー、フォークリフト、クレーンなどを指します。国内ではコマツ、日立建機、住友建機などが代表的な企業であり、コマツとキャタピラー(アメリカ)が世界の2大建設機械メーカーとして突出した存在です。
中国を中心とする国外需要の拡大により業績好調
産業用ロボット、工作機械、建設機械、いずれの分野も近年は好調が続いています。生産効率化、先進国の人手不足、新興国の賃金上昇などを背景に工場での産業用ロボットの導入が進んでおり、とくに中国を中心としたアジア各国で販売台数が拡大しています。
工作機械に関しては、スマートフォン需要などの影響もあり、2017年には国内工作機器メーカーの受注実績は10年ぶりに過去最高を更新。建設機械に関しては中国や北米でのインフラ建設に関わる需要増や資源価格の回復による鉱山用機械の需要が伸びています。
求められるインダストリー4.0への対応。各社で多様な取り組みがスタート
製造業や自動車業界、建設業界ではドイツ政府が推進するインダストリー4.0(第4次産業革命)を背景に、IoTの導入が進められています。コンセプトの中心にあるのは「スマートファクトリー(考える工場)」であり、機械設備や管理システムをインターネットに接続することにより、製造プロセス全体をデジタル化によって統合し、効率化、円滑化、生産性向上を目指す考え方です。産業ロボットや工作機械、建設機械の各メーカーもインダストリー4.0の潮流を意識して様々な取り組みを進めています。
たとえばファナックでは製造現場の産業量ロボットや工作機械をつないでデータの相互利用を実現する「FIELD system」というサービスの運用を開始しています。また、安川電機は日本IBMと連携。工場内の産業ロボットなど安川電機が開発したIoT機器からデータを収集したデータをIBMのクラウド基盤で分析し、工場内のIoT機器にフィードバックすることで生産工程を進化させるソリューションの開発を進めています。
機械メーカーで求められる理系の専攻・スキル・知識
総合重機、産業ロボット、工作機械、建設機械、いずれのメーカーにおいても理系の学生が活躍できる幅広いフィールドが広がっています。研究開発、設計開発エンジニアを中心に、生産管理・生産技術、品質保証といった多様な技術系職種のほか、マーケティングにおいて重要な役割を担う知的財産・技術営業といった職種もあります。機械・電気系専攻の理系学生を歓迎している企業が多いのは言うまでもありませんが、生産技術や品質保証、技術営業などの職種に関しては、専攻を問わず理系学生を歓迎している企業もあります。
また、インダストリー4.0を意識した取り組みが重視される機械業界ではAIやビッグデータ、IoT、画像認識、センシングといった技術に対するニーズが非常に高いため、同分野の知識を持った学生にとっても選択肢が広がっています。
≪機械業界売上ランキング≫
1位:三菱重工業 | 6位:ジェイテクト |
2位:小松製作所 | 7位:IHI |
3位:コマツ | 8位:日立建機 |
4位:ダイキン工業 | 9位:日本精工 |
5位:クボタ | 10位:住友重機械工業 |
※2019年3月期
≪理系新卒採用実績がある機械メーカー≫
三菱重工株式会社、株式会社小松製作所(コマツ)、安川電機グループ、ダイキン工業グループ、株式会社IHI、日立建機株式会社、クボタグループ、東芝産業機器システム株式会社、住友重機械工業株式会社、ファナック株式会社、ヤマザキマザック株式会社、DMG森精機株式会社、株式会社不二越、株式会社明電舎、NTN株式会社、日本精工株式会社、日本キャタピラーグループ、ABBジャパングループ、KUKA Japan株式会社、シーメンスグループ ほか
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