自動車業界《メーカー》理系ナビ業界研究


自動運転やエコカーの進化を背景に急速なイノベーションが進行する自動車業界

業界・業種を超えて多くの企業が関わる日本の基幹産業

自動車業界はあらゆる産業の中でも、世界最大級の市場規模を誇っています。日本においても長年にわたって国内自動車メーカーが、世界の自動車販売台数・売上高ランキングなどで上位を占めてきたこともあり、国内においても日本経済そのものを支える基幹産業として位置付けられています。

トヨタ、ホンダ、日産といった完成車メーカーのほか、デンソーやアイシン精機などのメガサプライヤーを中心とする様々な自動車部品メーカー、ブリヂストン、ダンロップ、ヨコハマタイヤなどのタイヤメーカー、鉄鋼・樹脂・ゴムなどを開発する素材メーカー、電子部品を開発する電気・電子機器メーカー、さらには自動車保険を提供する損害保険会社など、業界・業種を超えて膨大な数の企業が関わっており、産業としての裾野が非常に広いことも特徴といえるでしょう。


自動車業界を大きく変えつつある「エコカーと自動運転」

国内では都市部におけるカーシェアリング文化の浸透、人口減少、若者の車離れといった要因もあり、市場が頭打ちとなっています。そのため、国内の完成車メーカー、自動車部品メーカーの多くは、グローバル市場でのビジネス拡大を見据えており、現在でも「売上の大部分は海外」という企業が少なくありません。インド、東南アジア、中南米といった地域では経済成長に合わせて自動車へのニーズがさらに拡大すると見込まれており、自動車産業自体は世界規模での堅調な成長が予想されています。その一方で、地球環境への意識の高まりや新たなテクノロジーの進化など、複数の要因で自動車産業のあり方や業界構造が大きく変化しようとしています。

近年は世界的にエコカーの普及が進んでおり、日本でもガソリンと電気を併用するハイブリッドカー(HV)やプラグインハイブリッドカー(PHV)などが普及しています。一方でヨーロッパを中心に2025年~40年を目標にガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止すると発表する国が増えており、ハイブリッドではなく完全な電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)を求める機運が世界的に高まっており、ガソリンエンジンを前提として事業を進めてきた完成車メーカーや部品メーカーは事業構造の転換を迫られています。

また、AIを活用した自動運転にも注目が集まっています。多くの完成車メーカーは、自動運転を実現するためのAI技術や通信技術、自動運転を支えるための電気制御技術の開発を急ピッチで進めるために、AIやITに明るい技術者の確保や、大手IT・通信系企業やAIベンチャーと提携といった動きを活発化させています。


異業界からの新規プレイヤー参入により、あらゆる領域で競争が激化

エコカーや自動運転技術の進化・普及がもたらす変化を受け、自動車業界への新規プレイヤー参入が相次いでいます。とくに電気自動車はガソリン車に比べて部品点数が少なく、参入障壁を下げる大きな要因となっており、グローバル市場でも米国のテスラ、英国のダイソン、中国のBYDといった新興企業や異業界の大手企業が電気自動車マーケットに参入し、存在感を示しています。

また、自動運転のOSやシステム開発と合わせて、GoogleやApple、Amazonといった米国のグローバルIT企業もさまざまな側面から自動車産業に関わり始めるなど、今後も異業界から参入する新規プレイヤーが増え続けていくことは間違いないでしょう。研究・開発・生産に加え、新規サービスの提供なども含め、自動車を巡るあらゆる領域で激しい競争が続いていくと見込まれています。


自動車メーカーで求められる理系の専攻・スキル・知識

新たな自動車を生み出す研究や開発に携る研究開発職や機械系・電気系エンジニア、生産ラインや生産設備を構築する生産技術、自動車の品質を担保する品質管理、品質保証、マーケティングにおいても重要な役割を担う知的財産など、自動車業界には理系の専門知識を活かせる多様なフィールドが広がっています。

また、自動車メーカーというと機械・電気系エンジニアのニーズが高いイメージがありますが、実際には内装品・外装品などに多くの樹脂が使われており、研究開発の段階から多くの化学系エンジニアが関わっています。近年では化学・材料系の中でも高分子に関する知識を持った人材へのニーズがとくに高まっているようです。

さらに近年では、自動車関連メーカーにおけるIT・ソフトウェア系技術者の採用人数は増加傾向にあり、ハードウェアを制御する組込み系、ハードに載せるアプリケーションを開発するアプリ開発系などを中心に、多くのITエンジニアが活躍しています。今後の自動運転技術の進展にあわせて、AIや機械学習などの統計・データ解析といった情報系の知識・スキルを持った人材へのニーズはさらに高まり続けていくと考えられます。


≪自動車業界売上ランキング≫

1位:トヨタ自動車 6位:富士重工業(スバル)
2位:本田技研工業 7位:三菱自動車工業
3位:日産自動車 8位:いすゞ自動車
4位:スズキ 9位:日野自動車
5位:マツダ 10位:ダイハツ工業

※2019年3月期


≪理系新卒採用実績がある自動車メーカー≫

トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、本田技研工業株式会社、マツダ株式会社、株式会社SUBARU、スズキ株式会社、三菱自動車工業株式会社、いすゞ自動車株式会社、日野自動車株式会社、ダイハツ工業株式会社、三菱ふそうトラック・バス株式会社、UDトラックス株式会社、Bosch Japan ほか

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