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全世界で13兆円の巨大なゲーム業界。グーグル参入のインパクトは

国内ゲーム市場は過去最大に。スマホゲームが成長を牽引するも競争は激化

2018年、日本国内のゲーム市場は過去最高の1兆6,704億円に拡大しています。家庭用ゲームはハード・ソフトの合計で4,343億円(前年比97.3%)である一方、スマートフォンやタブレット用のゲームアプリ市場はプラス成長を持続し、1兆1,660億円(前年比10%増)に伸びています。スマートフォンゲームの順調な成長が伺えますが、成長率自体は鈍化しており、ゲーム会社間の競争が激化しているため、ヒットが生まれにくい状況が発生しています。逆に縮小傾向だった家庭用ゲーム機では、任天堂が2017年に発売した「Nintendo Switch」の大ヒットもあり、しばらくは堅調を維持すると見られています。

世界的に見てもゲーム業界は拡大傾向にあります。2018年の世界のゲームコンテンツ市場は前年比約2割増の13兆1,774億円となっています。地域別ではアジアが5兆8,234億円、北米が3兆8,125億円、欧州が2兆8,203億円を記録しており、これら主要3地域はいずれも前年比2桁増のプラス成長を続けています。とくにアジアに関しては、スマートフォン・タブレット用ゲームアプリ市場だけで3兆5,000億円を突破しており、他地域に圧倒的な差をつけています。(※売上数字はGzブレイン調べ)


ゲーム機はソニーと任天堂。スマホゲームは海外企業の存在感も大きい

ゲーム市場の有力企業は、家庭用ゲーム機開発メーカー、家庭用ゲーム機向けソフトウェアメーカー、スマートフォンゲームメーカー、プラットフォーマーなどに大別できます。

家庭用ゲーム機については「PlayStation」シリーズのソニー ・インタラクティブエンタテインメント、「Nintendo Switch」の任天堂が2強であり、「Xbox」シリーズのマイクロソフトがそれに続きます。

家庭用ゲーム機向けソフトウェアメーカーは、家庭用ゲームに軸足を置いているものの、スマートフォンゲームの開発も合わせて行っている会社が少なくありません。「鉄拳」、「アイドルマスター」のバンダイナムコ、「ドラゴンクエスト」、「ファイナルファンタジー」のスクウェア・エニックス、「ウイニングイレブン」、「実況パワフルプロ野球」のコナミ、「モンスターハンター」、「バイオハザード」のカプコンなどが老舗メーカーとして知られています。

スマートフォンゲーム開発に軸足を置く国内メーカーとしては、「パズル&ドラゴン」のガンホー、「モンスターストライク」のミクシィ、「グランブルーファンタジー」のCygames、「白猫プロジェクト」のコロプラ、「ディズニーツムツム」のLINEなどが有力です。また、プラットフォーマーとしては、DeNA、グリー、ヤフーなどが知られています。

スマートフォンゲームについては海外メーカーの存在も際立っています。中国企業であるテンセントは、多くのアメリカ企業を傘下に持ち、売上規模で世界のトップに立っています。たとえば世界トップの収益(2018年度)を上げている「Fortnite(フォートナイト)」を運営するEpic Gamesの株式のうち40%をテンセントが保有しているほか、「League of Legends」「クラッシュ・ロワイヤル」といった大ヒットゲームの運営企業もテンセントの子会社です。そのほか、日本でも社会現象にまでなった「ポケモンGO」は、グーグルの社内スタートアップ企業であるNianticが拡張現実(AR)技術と位置情報技術を用いて開発しました。


eスポーツやVR、グーグルの参入がゲーム業界にもたらす変化

近年では、ゲームを対戦競技として捉える「eスポーツ」が注目を集めており、海外では大型の賞金制大会が頻繁に開かれるなど、多数のプロゲーマーが活躍しています。日本国内でも2018年のアジア競技大会に日本代表が出場したこともあり、認知度が徐々に高まりつつあるようです。

VR(バーチャルリアリティ/仮想現実)も、ゲームを大きく進化させるテクノロジーとして期待されています。各社からVRゴーグルやヘッドセットといったVR用デバイスが発売されているほか、対応ゲームの数も増えているため、ヒットゲームの登場によって一気に広がっていくポテンシャルを秘めています。

また、グーグルが20年に本格展開を発表したゲームストリーミングサービス「Google Stadia(グーグル ステイディア)」は、ゲーム業界にとって大きなサプライズでした。同社のWEBブラウザ「Google Chrome」さえあれば、パソコンやスマートフォン、タブレットなど多様なデバイスでゲームをプレイできるほか、ハード性能による遅延格差も生じないとされています。さらに、米アップル社も定額制ゲーム配信サービス「Apple Arcade(アップルアーケード)」を2019年9月に提供開始。月額600円で、100種類以上の新作ゲームをプレイできるサブスクリプション方式となっており、これら大手IT企業の参入はゲーム業界の在り方を大きく変える可能性がありそうです。


ゲーム業界で求められる理系の専攻・スキル・知識

ソフトウェアエンジニア(プログラマー)、ハードウェアエンジニア、インフラエンジニアといったエンジニア系職種を中心に、プランナー、ディレクター、グラフィックデザイナー、サウンドクリエイター、知的財産、データサイエンティストなど、ゲーム業界には理系人材が活躍できる幅広い職種があります。プログラマーなどのエンジニア系職種では、情報系を中心に、プログラミングのスキル・経験を持った学生が歓迎されます。

家庭用ゲームとスマートフォンゲームで開発環境は大きく異なりますが、C#、C++、JavaScript、Swift、Ruby、Pythonといった言語が使われることが多いようです。また、プランナーやデータサイエンティストといったデータ分析が求められる仕事では、統計や確率といった専門知識を活かせるゲーム会社もあります。


≪ゲーム業界売上ランキング≫

1位:任天堂 6位:ミクシィ
2位:ソニー・インタラクティブエンタテインメント 7位:ディー・エヌ・エー
3位:バンダイナムコエンターテインメント 8位:コナミデジタルエンタテインメント
4位:ネクソン 9位:カプコン
5位:スクウェア・エニックス 10位:ガンホー・オンライン・エンターテイメント

※2019年3月期


≪理系新卒採用実績があるゲーム業界の企業≫

株式会社レベルファイブ、株式会社スクウェア・エニックス、株式会社ポケモン、株式会社コーエーテクモホールディングス、任天堂株式会社、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント、株式会社バンダイナムコエンターテインメント、株式会社ネクソン、株式会社ミクシィ、株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社コナミデジタルエンタテインメント、株式会社カプコン、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社、株式会社タカラトミー、株式会社インテリジェントシステムズ、株式会社ポリフォニー・デジタル、株式会社ゲームフリーク、株式会社ハル研究所 ほか

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