ソフトウェア業界《IT・情報通信》理系ナビ業界研究


クラウド化を背景に、CRM、セキュリティ、データ分析領域が市場を牽引

クラウドサービスの普及によって市場が大きく変化するソフトウェア業界

「ソフトウェア」とは、パソコンやスマートフォンを活用して文字入力や計算をする、画像を表示させて動かすといった、コンピューター上の様々な処理を行うプログラムの総称です。パソコンやスマートフォンなどを動かす基本ソフトである「OS(Operating Systemの略)」を中心に、個人向けのワープロソフトや表計算ソフト、法人向けの勤怠管理ソフト、会計ソフト、データ分析ソフト、在庫管理ソフトなど、ユーザーニーズの高度化・多様化に合わせて続々と新しいソフトウェアが開発されており、市場は細分化しています。

近年のソフトウェア市場の拡大に大きな影響を与えているのがクラウドサービスです。以前のソフトウェアはCDなどのパッケージで販売され、自分でパソコンにインストールして利用することが一般的でしたが、ソフトウェアをインターネット経由で提供する「SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」、ソフトウェアの動作環境をネット経由で提供する「PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)」のように、クラウドサービスとして提供されるソフトウェアが急速に増えています。ユーザーにとっては、クラウド化によって常に最新のソフトウェアを利用できるようになり、異なる端末で利用してもデータを共通化できるといったメリットがあるため、年々市場が成長し続けています。


外資系大手が圧倒的シェアを誇る一方、国内企業も各領域で存在感を発揮

パソコンのOSとして圧倒的なシェアを誇る「Windows」に加え、「Word」や「Excel」といったオフィスソフトを開発するマイクロソフト、「iOS」のアップル、「Android」のグーグルが世界をリードしています。また、データベース管理ソフトのオラクル、CRM(顧客情報管理)のセールスフォース・ドットコム、ERPソフトで世界トップシェアを誇るSAP、セキュリティソフトのシマンテックとマカフィー、「Photoshop」や「Illustrator」など画像系ソフトが有名なアドビシステムズ、仮想化ソフトのヴイエムウェアなどが世界的なソフトウェアメーカーとして広く認知されています。

日本国内では富士通、NEC、日立製作所といったシステムベンダーが幅広い法人向けソフトウェアを提供しているほか、ERPソフトのオービック、人事給与ソフトのワークスアプリケーション、グループウェアソフトのサイボウズ、セキュリティソフトのトレンドマイクロ、会計士・税理士向け会計ソフトのミロク情報サービスなどが売上上位を占めています。また、個人向けのソフトウェアではワープロソフトの「一太郎」や日本語入力の「ATOK」を開発するジャストシステムも有名です。


セキュリティ、データ分析領域を中心に継続的な成長が期待される

IT専門調査会社IDCジャパンによると、2017年の国内ソフトウェア市場は前年比5.8%増の2兆8579億円。働き方改革が本格化する中、場所やデバイスを選ばずに利用できるSaaS型会議ソフトの売上が伸びているほか、顧客情報の収集・分析を通じて顧客満足度の向上や新たなニーズ発掘を実現するCRM(顧客情報管理)のニーズが拡大しているようです。

さらに今後は、AIやIoTの普及、マイナンバーの導入に伴う個人情報保護の対策強化に欠かせないセキュリティソフト分野が成長すると考えられています。また、企業のビッグデータ活用を促進するBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールやBA(ビジネス・アナリティクス)ツールといった、膨大なデータの管理・分析を通して意思決定をサポートするソフトウェアへのニーズも高まり続けているなど、クラウド化を前提としたソフトウェア業界の成長はしばらく続いていくと予想されます。


ソフトウェア業界で求められる理系の専攻・スキル・知識

ソフトウェア業界には、システムエンジニア、プログラマー、インフラエンジニア(ネットワーク、サーバー、セキュリティ)、テクニカルサポート、カスタマーエンジニア、ITコンサルタント、データサイエンティスト、セールスエンジニア(技術営業)など、理系人材が活躍できる幅広いフィールドが用意されています。

ソフトウェア業界では、C、C++、Java、C#、VB、VB.net、Delphi、Objective-C、JavaScript、Perl、PHP、Pythonなど、多様な言語による開発が行われていますが、大手・中堅企業の多くは充実した教育・研修体制を整備しているため、入社後にスキルを習得することも可能です。情報系を専攻している学生が有利ではあるものの、一定のプログラミングスキルや基礎知識を有していれば、学部や学科を問わないという企業も多いようです。

ただし、データサイエンティストなどの一部の職種、先端技術開発に注力している企業では、AIやビッグデータ解析など、特定の技術領域における研究経験やアカデミックな専門知識を求められるケースがあります。


≪ソフトウェア業界売上ランキング≫

1位:日本オラクル 6位:ジャストシステム
2位:トレンドマイクロ 7位:ソースネクスト
3位:オービック 8位:クレオ
4位:ミロク情報サービス 9位:ピー・シー・エー
5位:オービックビジネスコンサルタント 10位:サイボウズ

※2019年3月期


≪理系新卒採用実績があるソフトウェア業界の企業≫

株式会社ワークスアプリケーションズ、株式会社ゼンリン、株式会社ミロク情報サービス、日本オラクル株式会社、トレンドマイクロ株式会社、株式会社オービック、株式会社オービックビジネスコンサルタント、株式会社ジャストシステム、サイボウズ株式会社、ピー・シー・エー株式会社、株式会社クレオ、ソースネクスト株式会社、ウイングアーク1st株式会社、日本マイクロソフト株式会社、株式会社セールスフォース・ドットコム、SAPジャパン株式会社、株式会社シマンテック、アドビシステムズ株式会社、株式会社ソリトンシステムズ、ヴイエムウェア株式会社 ほか

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