「5G×IoT」で社会と産業の変革をリードする通信系企業の動きに注目

大手通信キャリアによる寡占が続くも、携帯電話市場ではMVNOが台頭

通信業界は固定電話やインターネット回線といった固定回線を提供する企業や、携帯電話用のモバイル回線を提供する企業など、「通信キャリア」と呼ばれる企業を中心に構成されています。固定電話、インターネット回線ではNTT東日本やNTT西日本、モバイル回線ではNTTドコモ、KDDI（au）、ソフトバンクの3大キャリアによる寡占状態が続いてきましたが、携帯電話・モバイル回線を中心としたマーケットで大きな動きも見られます。

とくに近年では、通信設備や回線を保有している3大キャリアから回線を借り受けることで格安SIMサービスなどを提供するMVNO （仮想移動体通信事業者）が台頭しています。3大キャリアのサービスに比べて携帯電話・スマートフォンを半分以下の料金プランを提供できるインパクトは大きく、2019年3月時点で12.3%までシェアを伸ばしています（MMD研究所調べ）。MVNOにはY!mobile（ワイモバイル）、UQモバイル（UQコミュニケーションズ）、OCNモバイルONE（NTTコミュニケーションズ）といった3大キャリアの系列企業が提供するサービスに加え、楽天モバイル（楽天）、LINEモバイル（LINE）、イオンモバイル（イオン）など、異業種からの参入も続いており、各社がシェアを競い合っています。

楽天の新規参入により各グループの総合力が問われる時代へ

MVNOの提供会社として約150万人のユーザー数を誇る楽天は、総務省から携帯電話の基地局に関する免許の交付を受けました。これにより楽天は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3大キャリアに続く、第４の携帯電話事業者となることが決まり、2020年のサービス開始を計画しています。

楽天は本業であるECや金融、ポイントサービスを通信と組み合わせて提供できる強みを持っています。また、

楽天とKDDIによる業務提携を発表しており、楽天は携帯電話事業においてKDDIから通信設備を借り受け、KDDIは楽天が持つスマホ決済インフラを活用すると見られています。

このように楽天の参入によって国内携帯電話市場に大きな変化が起こると予想され、迎え撃つ3大キャリアもECや金融、動画配信、クレジットカードといった幅広いサービスとの連携・統合を進めており、今後は各グループの総合力が問われることになりそうです。

5GでIoTが本格化。各社がサービス開始に向けた取り組みを推進中

2020年に商用サービスが開始される第5世代移動通信システム（5G）は、携帯電話市場はもちろん、自動車、インフラ、家電、製造業など、あらゆる産業と人々の生活を大きく変えると言われています。5Gの導入によって実現される通信速度は現行の4Gの100倍、10Gbpsを超える超高速通信が可能になるため、超高解像度動画のストリーミングや自動運転、ロボットの遠隔操作など、IoT（Internet of Things／モノのインターネット化）が、これまで以上に本格化していくでしょう。

NTTドコモは2020年春に5Gの商用サービスのリリースを予定。KDDIも一部エリアから高精細映像の配信、スタジアムソリューション、ドローン警備などの5Gサービスを開始すると発表しました。また、ソフトバンクは2019年度から5Gサービスを開始するとし、スタジアムやVRを使った視聴体験イベントをスタートすると発表。楽天も2020年春には5Gの商用サービスを提供すると表明するなど、各社でサービス開始に向けた取り組みが進んでいます。

通信業界で求められる理系の専攻・スキル・知識

通信業界には理系人材が活躍できる幅広いフィールドがあります。代表的な職種としては、研究開発、システムエンジニア、インフラエンジニア（ネットワーク、サーバー、セキュリティ）、通信設備の保守などを担うフィールドエンジニア、セールスエンジニア、技術営業、カスタマーサービス、マーケティング、商品企画などがあります。研究開発については、各企業とも快適な通信環境の実現・提供のための通信技術開発に取り組んでおり、とくに近年では5GやIoT、AIといった先進技術の開発に注力する通信系企業が増えています。

全般的に機械・電気系や情報系の知識を活かせる職種が目立ちますが、専攻を問わず理系を歓迎している企業・職種もあるので、積極的に情報を集めておきましょう。