実績・経験と同等にまっさらな論理的思考力が武器になるコンサル業界

一般的には「理系職」というイメージではないかもしれないが、金融業界と並び、理系出身者が活躍しているのがコンサルティング業界だ。企業経営に対してさまざまなアプローチで支援するコンサルティング企業は、理系をなぜ求めているのだろうか。コンサルティングという 仕事の内容にも踏み込みながら、その理由を解き明かしていこう。


若くして大企業の幹部と渡り合えるコンサルティングの仕事

「コンサルティング」という言葉の意味を調べてみると、「専門的なアドバイスを与えること」とある。コンサルティング企業は企業経営のさまざまな側面から、助言を与える専門家集団。若いうちから大手企業の社長・取締役・部長クラスなどを相手に、経営戦略、新規市場参入戦略など、企業戦略を左右するような提言をできるのが仕事の魅力だ。

プロジェクトの進め方は、対象領域などによってさまざまだが、基本的な流れはおおよそ同じ。コンサルティング企業の幹部が案件を開拓・受注するところからまずは始まる。続いてマネジャークラスのベテランが、プロジェクトの進め方について全体のプランを立て、コンサルタントやアナリストといった若手メンバーに業務を割り振る、といった流れになる。

具体的な業務内容について見てみると、顧客社員へのインタビューや各種データの調査など、さまざまな手法で定性・定量データを収集・分析し、ドキュメントを作成する。近ごろは、そうして立案した戦略を実際に顧客の業務レベルにまで落とし込み、実務に参加して成果を上げるところまで責任を負うハンズオン(経営参画型)のコンサルティング企業も登場してきている。

論理的思考力などを武器に、新卒でも戦える余地がある

そのようなコンサルタントの仕事を進めていく上で、どんな能力を武器にするかで大きく二つのタイプに分けられる。 一つは特定領域における実績や経験を武器にするタイプ。営業や流通、マーケティングなど、特定の業界・企業で目覚ましい実績を残してからコンサルタントになった、という人にこのタイプが多い。

もう一つは、論理的な思考力、調査能力を武器にするタイプ。時には業界の経験が偏見・思い込みにつながることもあるため、コンサルタントの仕事では業界での経験を持っていることが必ずしも有利に働くとは限らない。論理的に考え、適切に調査する能力さえあれば、十分なパフォーマンスを発揮できるのだ。

つまり、後者のようなタイプの働き方であれば、新卒でコンサルティング業界に飛び込んだ人材にも、十分に活躍する余地があるということ。また先輩社員の中に前者のタイプのコンサルタントが居ることもある。会社全体で互いの長所を引き出し、短所を補えば良いわけだから、新卒でもコンサルタントとして採用されているのだ。

「技術に明るい」というのも理系を評価するポイントの一つ

ここまで触れてきたように、コンサルティング業界では論理的な思考力に優れている学生を採用したいと考え、理系を評価する傾向にある。それ以外にも情報収集・分析能力に優れている、忍耐強いといった点が、理系が文系よりも評価されているポイントだ。

もう一つ評価ポイントを挙げるとすれば、金融業界の特集でも触れているが、昨今のビジネスを考える上で、メーカーならコアとする製品・技術、IT業界ならその企業が持ち合わせているエンジニアの力といったものを理解できないと話にならない。そういった技術力を理解するのは理系の方が得意なはず。それも理系が求められる理由の一つである。

それらの理由以外にも、コンサルティング企業が理系学生を求める理由はいくつか挙げられる。経営戦略、財務・会計、IT、その他、という大きく四つの分類で理系のどんな能力が求められているのか、さらに掘り下げて説明していこう。


コンサルティングファームの種類

経営戦略系コンサル

企業の中長期での経営戦略、新規市場参入、M&Aといった企業経営を進める上で柱となる戦略立案などを行うのが経営戦略系のコンサルティング企業。世間一般の「コンサルティング企業」というイメージに一番近く、経営幹部などを相手に経営改善のプランなどを提言していくことになる。

経営戦略系のコンサルティング企業が理系学生に求めるのは論理的な思考力。いわゆる「地頭の良さ」が求められる。面接でもケース面接と呼ばれる論理的な思考力を測るための課題が出され、「日本にガソリンスタンドはいくつあるか?」といった問いに対して論理的に答えられるか、といった視点で能力を見られることになる。

代表的な企業:マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ、A.T. カーニー、アーサー・D・リトル、モニターグループ、野村総合研究所(NRI)、シグマクシス、ドリームインキュベータ

財務・会計系コンサル

会計事務所・監査法人など、元々は企業の財務や会計・決算などの業務を支援していた企業が、コンサルティング分野に踏み込んで生まれたのが財務・会計系のコンサルティング企業。財務面の経営計画の策定、株式公開支援、会計関連の新制度導入・フロー改善の支援といった面でかかわるプロジェクトが多い。

財務・会計系の業務は、会計情報を扱うということで数字に強かったり、あるいはシステム導入を伴うことが多いのでITに強かったり、といった素養を求められる。そういった面で理系の方が文系よりも長けているため、活躍できる余地が十分にあるのだ。

代表的な企業:デロイト トーマツ コンサルティング、プライスウォーターハウスクーパース

IT系コンサル

企業の会計システム、業務処理システムなど、企業経営と切っても切り離せないシステムの設計・構築を担う企業をITコンサルティング会社と呼称している。システムを導入する際には、相手方の経営課題などを理解しておかないとシステム設計の勘所を押さえ漏らすケースが出てきてしまう。実際、システムインテグレーター(SIer)にも求められてくる役割ではあるので、SIerの中にITコンサルタントという職種が用意されていることもある。

システムを設計・構築することになるので、ITの知識を持っていた方が有利。そんなわけで、ITコンサルティング会社も理系の採用に積極的なのだ。

代表的な企業:アクセンチュア、IBMグローバル・ビジネス・サービス、フューチャーアーキテクト、新日鉄住金ソリューションズ

その他コンサル

代表的なコンサルティング会社のカテゴリとしては、このほかにも総合系、人事・組織系、シンクタンク系、ブランド戦略・マーケティング系といったものが挙げられる。そのほかにも、企業再生、営業、物流など、比較的小規模のコンサルティング企業を含めていけば、カテゴリの種類はさらに広がることになる。

ただ、多種多様なカテゴリがあるとは言っても、根本的に必要とされるのは論理的に考える力。自分で培ってきたノウハウを教えるにも、体系立ててまとめ上げ、相手の抱えている課題に合わせて最適な提言ができるように思考する力が必要になる。

代表的な企業:タワーズワトソン【人事・組織系】、博報堂コンサルティング【ブランド戦略系】