理系就活の進め方/進路選択のポイント解説


一昔前であれば、理系の就職活動は「推薦を使ってメーカーへ就職する」のが一般的でした。しかし、近年は就職活動の進め方や進路など、様々な選択肢が広がっています。理系の就職活動はいつから取り組めばいいのか?理系の就職先やキャリアはどのような可能性があるのか?文系就職との違い、理系就活の特徴とは?理系就活のキホンを解説します。

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【1】大学院進学か、学部就職か

理系の約4割(注1)が学部卒業後に大学院へ進学しますが、大学や学部によってこの数字は大きく異なり、8~9割が進学する大学/学部も珍しくありません。将来的に「理系専攻分野の知識を活かした仕事に就きたい」、「研究者として活躍したい」と考えているのであれば大学院進学の必要性は高まります。その他、金融専門職やコンサルタントといった職種でも、理系的素養や研究経験など、修士・博士として培った理系の素養・経験を評価するケースもあります。

一方で、理系の専門知識が必ずしも必要ではない企業・職種への就職、いわゆる“文系就職”を念頭に考えているのであれば、大学院に進まずに学部卒で就職するという選択肢も出てくるでしょう。修士以上の理系学生が“文系就職”をする場合、「進学した理由と、なぜこの仕事/会社を希望するのか」をしっかり自分の言葉で語ることが重要となります。

もし、「進学か就職か」を迷っているのであれば学部生のうちに、ひとまずインターンシップや就職活動に取り組むことをおすすめします。インターンシップ(就業体験 )や、就職活動での社会人との交流は、ビジネスで求められる専門知識やスキルを体感したり、自身の適性などを見極めたりするうえで非常に有効です。就職活動を通じて魅力的な会社と出会えればそのまま就職してしまうのも一つの選択肢ですが、そういった経験を通じて、研究すべきテーマや学ぶべき知識、取得したほうがいい資格など、目標を明確にして大学院への進学を決意した先輩もいます。早期からの情報収集は将来の選択肢を広げる重要な機会なのです。

【注1】文部科学省「令和2年度学校基本調査」参照

【2】理系就職か、文系就職か

理系の就職先といえば、専門性を活かせる「研究職」や、「エンジニア」といった仕事をまず思い浮かべる方が多いかもしれません。とはいえ、研究職と一口に言っても、大学での研究テーマをダイレクトに活かせる就職先ばかりではありません。その一方で、意外な分野で専門知識や基礎教養を活かして理系が活躍できる仕事は、皆さんが想像する以上に数多く存在しています。多くの理系学生が「専門性を活かした仕事に就きたい」と考えていますが、まず世の中にどのような仕事があり、自身の専門知識はどの程度ビジネスにおいてニーズがあるのか、といったことをしっかりリサーチすることが重要です。

また、企業が理系学生に期待しているのは専門性だけではありません。数理能力や論理的思考力といった理系の素養や、研究経験そのものを評価している企業も多く存在しています。さらに、理系の専門性を直接的に活かしにくい、いわゆる“文系就職”を志望した際にも、“理系”を理由に不利になることはほとんどありません。文系の就職先と思われている企業や職種は、理系の採用実績が少なかったとしても、実際は理系出身者を歓迎しているケースは珍しくないのです。意外と思われる業界や職種でも理系人材を歓迎する企業は数多くあるので、興味を持った業界・職種があればぜひ調べてみてください。

理系学生は専門性を有しているがゆえに、就職先も専門性に関連した場所を選択しがちですが、仕事の適性や会社風土、長期的なキャリアなど、 就職先を選ぶうえで検討すべき情報は数多くあります。先入観にとらわれず、どのような仕事、企業であれば自分が重視していることを実現できるのか、就職活動をきっかけとしてしっかり見極めてみてください。

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【3】自由応募か、推薦応募か

理系就職活動の特徴のひとつとして、推薦応募があります。推薦応募とは、学校や教授に推薦状を書いてもらい、企業の採用選考を受ける応募手法です。応募人数に上限が設定されている場合もあるので、その場合は学内(研究室内)での選考(選抜)があります。たとえ、学内の選考を通過しても企業の選考で不採用となるケースもあるので、『推薦応募=内定』ではありません。

推薦応募は選考の通過率が比較的高く、選考プロセスが一部簡略化されるといったメリットがあります。ただ、推薦応募はメリットだけではなく、デメリットもあるので利用する際は注意が必要です。推薦応募のデメリットとしては、内定辞退をしにくい、推薦応募できる企業が限られる、求人によっては推薦の応募人数に上限(学内選考)がある、といった点が挙げられます。また、推薦の場合は一般の選考よりも早めに内定が出る場合が多く、早期に就活を終えられるという利点があるものの、裏を返すと他の企業を検討する前の段階で就職先の意思決定をしなければなりません。

ちなみに、就職活動を終えた理系ナビ会員の内定先企業では、約8割が一般応募、2割が推薦応募となっています。推薦を利用した就活生の比率は徐々に下がってきており、推薦応募によって内定を獲得している学生も並行して一般応募もしている場合も少なくありません。推薦応募のメリット・デメリットを理解したうえで使い分ける必要があります。

※大学(学部学科)や企業によって上記のメリット・デメリットが当てはまらないケースもあります。

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【4】理系の就職活動スケジュール

就職活動スケジュールは過去に何度も変更されており、さらに公表されているスケジュールにとらわれない採用活動を行う企業も多いため、「いつ、何をすればいいのか」がわかりにくいのが実情です。2024年卒業予定の就活日程については、すでに政府主導で「2024卒の就活スケジュールは前年度を踏襲」と公表されています。具体的な日程としては、学部3年/修士1年の夏からインターンシップが開催され、翌年3月1日に新卒採用情報の公開及びエントリー受け付けが開始。6月1日から採用選考を実施(以降随時内々定出し)するというのが基本スケジュールとなっています。

近年は企業や業界によって採用プロセスやスケジュールが多様化し、一概に「この時期から始めればベスト」というのは難しいのですが、一つ言えるのは進級を間近に控えた学部3年/修士1年の3月1日時点で「そろそろ就活をはじめよう」といった動き方では大きく出遅れてしまうということ。早期からインターンシップやセミナーなどを通じて学生と接点を持つ企業が増えており、3月時点ですでに内定を出す学生に目星をつけている企業は少なくありません。できれば就職活動が本格化する前年に実施されているサマーインターンシップに参加し、志望業界や職種の目星を付けたり、情報収集をしておくことが好ましいでしょう。特に理系学生は研究などで忙しいので、早期からしっかり情報収集し、今後やるべきことと全体スケジュールをイメージしておくことが重要となるのです。

インターンシップへの参加は情報収集の面でメリットが大きいだけでなく、エントリーシートの作成や面接の経験を積めるので、就職活動本番で大きなアドバンテージとなるはずです。2026卒向けのインターンシップ、新卒採用企業・エントリー情報は理系ナビ2026で4月から公開しているのでチェックしてみてください。

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