理系の仕事・職種研究　≪商社営業≫

商社営業の具体的な仕事内容や業務のやりがい、新卒採用で求められる応募資格（学部・専攻など）や採用実績のある企業などを解説します。理系が活躍できる商社営業の魅力とは。

商社営業の仕事内容とは

「ロケットからインスタントラーメンまで」と言われるように石油・石炭などの資源から、食料品、自動車、精密機器、化学製品、医薬品、通信衛星に至るまで、世の中のあらゆるモノの取り扱い、貿易、仲介、物流のネットワークやノウハウを活かして売り手と買い手をつないでいるのが商社です。

商社営業は商社が担う多様なビジネスの最前線で幅広い業務を手掛けます。商社には多種多様な事業を展開する総合商社の他に、「食品商社」「鉄鋼商社」といった特定の事業分野に特化している専門商社もあります。近年の総合商社はモノの輸出入の商取引（トレーディング）だけでなく、製品開発や原料加工、部品製造なども手掛けることでサービスの付加価値を高めている会社が増えています。

さらには資源・エネルギー関連の事業投資に注力している会社も多く、商社営業として新興国や途上国の空港や鉄道、各種プラントの開発といった国家レベルのプロジェクトに携わるチャンスも増えています。

人と人、組織と組織を繋ぎ合わせ、新たなビジネスを創出する

近年、新興国に対する高速鉄道などのインフラ輸出が話題になっていますが、政府や鉄道会社、エンジニアリング会社といった関係者を取りまとめ、相手国政府に対する提案、交渉を行っているのは商社です。

トレーディングや事業投資にとどまらず、国を超えて人と人、組織と組織を繋ぎ合わせることで新たなビジネスを創出し、プロデュースしていくことも総合商社の営業担当が任される重要なミッションの一つです。

商社営業の仕事のやりがい

トレーディング、事業投資、インフラ開発など、商社のビジネスはいずれもグローバルなフィールドで展開されるため、商社営業の仕事では日常的に視察や交渉、契約、プロジェクト管理を行うための海外出張、海外赴任が発生します。他業界の営業職以上にバイタリティとフットワークが求められますが、一度の取引で数十億〜数百億の金額が動くこともあるなど、スケールの大きなプロジェクトに参加できるのは商社で働く仕事の魅力の一つと言えるでしょう。

特に新興国や途上国おけるインフラ開発、プラント開発などは一国のマーケット環境そのものを変えてしまうほどのインパクトがあります。

商社営業に求められる専攻・スキル・知識

文系の就職先というイメージがある商社ですが、精密機器や化学製品、医薬品、農作物といった理系と親和性の高い商材が扱われていることもあり、理系人材の採用に力を入れている企業は多いです。実際に理系出身者が商社で活躍しているケースは珍しくなく、総合商社の三菱商事と三井物産の会長は理系出身者です。

応募条件については、学部や専攻を問う企業は少なく、あらゆる理系の学生が歓迎されていますが、食品、繊維、電子部品、医療、素材、電気、機械など特定事業に特化した専門商社では、商材との親和性の高い専攻出身者を歓迎するケースもあります。

学部卒・修士了・博士了を問わない商社がほとんどですが、三井物産では研究で培った粘り強さや、情熱、探究心をビジネスの世界で活かしてもらうことを期待して、博士課程の採用枠が個別に設けられているケースもあります。

商社の仕事で求められる能力は、多くの関係者を巻き込んで動かすマネジメント力、行動力、情報収集力、ビジネス視点などがある一方、理系で培われた論理的思考、研究でPDCAを回した経験なども活かせるでしょう。

また、総合商社ではビジネスの領域が広いため、様々なことに関心を持って取り組める人材が歓迎されています。もちろん、海外に関わる仕事をすることも多いため、英語力も大きな武器になるでしょう。