統計解析やITスキルを駆使して企業戦略における様々な意思決定を支援するデータサイエンティスト。「データサイエンティスト就活対策」では、就職活動/インターンシップのスケジュール時期や資格試験、就職難易度、新卒採用実績企業、選考対策について解説します。
目次
【1】データサイエンティストとは
Webサイトのアクセスログやクレジットカード・ポイントカードの使用履歴、ユーザーの行動履歴や位置情報、SNSの書き込み、設備機器の動作数――社会のDX化が急速に進むにつれ、企業が蓄積しているデータ(ビッグデータ)も増え続けています。
データサイエンティストの主なミッションは、それら膨大なデータを収集・分析し、企業戦略における意思決定を支援すること。近年、多くの企業がデータ活用の重要性に着目し、新規ビジネスの創出や業務プロセスの改善などに取り組んでいます。そのため、データサイエンティストの活躍フィールドはIT業界にとどまらず、メーカー、コンサル、金融など採用企業は幅広い業界に広がっており、各社による中途・新卒募集や人材育成が活発化しています。そのような採用意欲の高まりによってデータサイエンティスト人材は慢性的に人手不足の状態となっており、企業間の採用競争が激しくなっています。
【2】データサイエンティスト就活の業界研究/新卒採用実績企業
「データサイエンティスト」と一口に言っても、企業によって期待されるミッションや重視されるスキルは異なります。代表的な活躍フィールドとしては、事業会社、データ分析専業会社、コンサルティングファームの3領域が挙げられます。各業界におけるデータサイエンティストの仕事内容や特徴を紹介します。
●事業会社のデータサイエンティスト
WEB系企業やメーカー、金融機関など、様々な業界における事業会社で自社サービス/製品改善や新規事業立ち上げなどを目的としてデータ分析・活用に取り組みます。分析や予測モデルを構築するため数学・統計分野の専門性が求められるのに加え、ビジネスについての深い理解やマーケット視点なども重要なスキルとなります。事業会社の業態やビジネスモデルによって期待されるミッションや能力は異なるので、各社の採用情報や事業内容をしっかりチェックしましょう。
≪データサイエンティストの新卒採用実績がある企業≫
ブリヂストン、日立製作所、NTTデータグループ、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー、LINE、リクルート、KDDI、第一生命保険、あいおいニッセイ同和損保、新生銀行、三菱ケミカル、電通総研など
●データ分析専業会社のデータサイエンティスト
データ分析専業会社では、様々な業界のクライアントからデータ分析や分析基盤の構築といった業務を受託しています。事業内容はデータ分析に特化しているケースが多く、ビジネス領域の知識よりも数学・統計学のスキルやITスキルが重視されるケースが多く、データ分析に専念したスペシャリストとしてのキャリアを積めます。
≪データサイエンティストの新卒採用実績がある企業≫
マクロミル、ブレインパッド、ALBERT、GRI、Supershipなど
●コンサルティングファームのデータサイエンティスト
データ分析を含むソリューション提案を手掛けているコンサルティングファームも増えています。とはいえ、コンサルティングファームにおけるソリューションのゴールはクライアントの課題解決や付加価値の提案であり、その手法の一つとしてデータ分析があるという位置付けです。データ分析専門のチームを擁しているコンサルティングファームでデータ分析の専門家としての活躍を期待されるケース、データ分析の知識を有したコンサルタントとして活躍できるケースもあります。コンサルティングファームではビジネスの基礎力や課題解決力が重視されるケースも多いようです。
≪データサイエンティストの新卒採用実績がある企業≫
アクセンチュア、アビームコンサルティング、KPMG FAS、日本アイ・ビー・エムなど
【3】データサイエンティストの新卒採用で求められるスキル・資格
情報、数学、物理などを専攻し、数学・統計学を学んだ学生が歓迎されますが、データサイエンティストになるのにこれら専攻が必須というわけではありません。求められるスキル・知識としては、プログラミング、統計処理、データ分析、機械学習などが評価ポイントとなり、使用言語・ツールではPython、R、SAS、SPSS、分散処理のフレームワークHadoop、データベース言語SQLなどが挙げられます。
その他には、ロジカルシンキングやビジネス全般の知識といったビジネススキルもデータサイエンティストとして重要な素養となります。対象企業のビジネスモデルや、ユーザー視点を深く理解することで、データ活用・提案の精度は大きく変わるでしょう。
≪データサイエンティストにとって重要なスキル≫
【4】データサイエンティスト就活で有利な資格
データサイエンティスト就活において有利な資格はいくつかありますが、必須というわけではありません。業務上求められるスキルや知識に関連する資格は複数存在しており、資格勉強の際にデータサイエンティストとして必要な専門知識や考え方を学べるでしょう。
●データサイエンティスト関連資格
データサイエンティスト検定 | 一般社団法人データサイエンティスト協会が実施している検定で、データサイエンティストに必要な見習いレベルのスキルや知識をまとめた資格。 |
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基本情報技術者試験 | 情報技術全般に関する基本的な知識・技能が体系的に幅広く出題される国家資格。 |
統計検定 | 統計学に関する知識や活用力を評価する検定試験。一般社団法人日本統計学会が認定、総務省、文部科学省、厚生労働省、内閣府後援。 |
ディープラーニング検定(G検定/E資格) | 日本ディープラーニング検定協会が実施しているディープラーニング検定。G検定はAIを活用するスキル、E資格はAI開発のスキルを証明する資格。 |
OSS-DB技術者認定試験 | オープンソースデータベース(OSS-DB)に関する技術力と知識を認定する資格。特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)運営。 |
ORACLE MASTER(オラクルマスター) | オラクルデータベース(日本オラクル社が提供するデータベース)管理に必要な知識・技術が評価される資格試験。情報処理のベンダー資格では比較的ポピュラーで27万人が資格取得。 |
データベーススペシャリスト試験 | 情報処理技術者試験の一区分で、データベースの設計・管理に関する国家資格。 |
【5】データサイエンティストのインターンシップ/就活スケジュール時期
データサイエンティスト採用を含め、近年の就職活動は早期化が進んでいるので早めの情報収集が重要となります。また、インターンシップの重要性も高まっており、サマーインターンシップに参加し、早期から企業と接点を持ったり自身の適性を見極めたりすることは就活で大きなアドバンテージとなるでしょう。
その他、データサイエンティスト系職種は学年不問で長期インターンシップを通年で募集しているケースもあるので、参加可能であれば検討してみてください。新卒募集については、インターンシップ参加者に優先的に情報が提供されたり、そのまま本選考につながるケースも多いので注意が必要です。
●データサイエンティスト就活スケジュール
4月〜6月 | 翌年度が卒業予定の学生(学部3年、修士1年など)を対象としたサマーインターンシップ情報の公開・エントリー応募受付がスタート。※2027年卒業予定であれば、2025年の4~6月が当該時期となります。 |
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7月 | サマーインターンシップの選考(選考課題・面接)が行われる。 |
8月〜9月 | サマーインターンシップ実施がピーク。本採用でも早期選考を行う企業の情報が公開され始める。 |
10月〜12月 | インターンシップ経由などで、早期本選考開始する企業も。ウインターインターンシップの選考も開始。 |
1月 | ウインターインターンシップ実施。本選考を行う企業が増加。 |
3月 | エントリーシート締切、筆記テスト、面接など選考のピーク時期。一部企業で内定出しが始まる。 |
6月 | 内々定通知 |
※上記日程は26卒までのデータサイエンティスト就活時期をもとに作成しています。就活時期は年度によって前後する可能性があるので、自身でしっかり情報収集することをお勧めします。
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データサイエンティストと聞くと、「プログラミング能力が高くない私だと目指せない」や「ひたすらデータに向き合って黙々と進めていそう」といったイメージを持つ学生も多いのではないでしょうか。しかし、この時代の移り変わりが激しい中で、データサイエンティストに求められるのは、データ分析スキルだけでなく、そのデータからどのような傾向がみられるか、どうビジネスに結び付けるかといった発想力、転換力も期待されています。市場価値の高いデータエンジニアに向けて、専門的スキルを高めつつ、社会へのアンテナを立てて情報収集することがより求められています。
データサイエンティストを志望する学生に考えておいてほしいのは「どんなデータサイエンティストを目指したいのか(データとどのようなかかわり方をしたいか、どのようなデータを処理したいか)」ということ。そのためには、仕事内容やキャリアを深く理解することは不可欠。WEBや書籍だけでなく、OB/OG訪問やインターンシップなど自身の足で各社のデータサイエンティストの実態や各社の風土、最新の取り組みといった情報を収集することで、目指すべきデータエンジニア像のイメージを固めていってください。
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理系ナビ キャリアアドバイザー/データサイエンティスト担当 三好
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