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コンサルティングとは簡単に言うと『クライアント企業の抱える問題点を発見・分析し、それに対する適切なソリューションを提示すること』だと定義することができます。扱う分野は経営戦略や事業戦略の立案から、情報システムや人事制度の改革まで非常に多岐に渡っており、コンサルタントの持つ豊富な知識やノウハウに対する需要は今後日本でも益々高まっていくと言われています。
とはいえ、外部の人間にとって、コンサルタントの日々の業務内容というのは少し見えにくいものかもしれません。実際、コンサルティング業界を志望する学生の多くも、まず第一に「業界研究」という壁にぶつかるのではないでしょうか。「給料がよさそう」「成果主義が徹底されている」「若いうちから豊富な経験が出来そう」といったイメージばかりが先行し、実際にコンサルタントがどのような仕事をしているのか、しっかりと把握出来ている方はあまり多くはないようです。
その理由のひとつは、コンサルティング業務の多くが守秘義務を伴うという点にあります。業務の性質上、企業経営の根幹に携わるようなプロジェクトが多く、その具体的な内容はほとんど外部に公開されることがないのです。そのため、書籍やインターネットによって十分な情報収集が出来ないのも仕方がないといえるかもしれません。
しかし、逆を言えばそれだけ企業にとって最重要な部分で経験を積んでいけるというのが、コンサルティング業界で働く醍醐味の一つであることも事実。この業界が「成長速度の目に見えて早い業界」と言われる所以もそこにあるといえるでしょう。
コンサルティングを行う人のことを『コンサルタント』と呼び、その組織(企業)のことを『コンサルティングファーム』と呼びます。コンサルティングファームは、その扱う対象によって、以下のように分類することが出来ます。
●戦略系コンサルティング
企業のトップマネジメントにかかわるコンサルティングを行います。企業戦略やマーケティング戦略、新規事業への参入戦略まで、企業の抱える経営課題にさまざまな側面からアプローチし、解決策を提案・実行します。戦略レベルのコンサルティングが多いため、「総合系」や「SI系」のようにシステムを実際に導入するところまでは行いません。
外資系のコンサルティングファームが多いのが特徴ですが、近年では欧米の知識やノウハウを取り入れるだけでなく、日本の企業風土にあったノウハウを蓄積しているファームが多くなっています。
●総合系コンサルティング(会計系コンサルティング)
ITから業務プロセス、戦略、人事、経営管理など幅広い領域を対象にコンサルティングを行うのが特徴。国内ではシステムコンサルティングを行うことも多く、「IT系」に分類されることもあります。
戦略系ファームに比べて多数のコンサルタントを抱え、1000人以上を動員する大規模なプロジェクトを手掛けるケースも。また、「会計事務所系」と呼ばれることもありますが、これは総合系といわれる大手コンサルティングファームが会計事務所を母体として誕生した背景を持つため。会計監査業務から派生したコンサルティング業務をもとに、別組織をつくったのが始まりです。だからと言って財務会計等の経営管理に特化しているわけでなく、前述の通り幅広いコンサルティング業務を手掛けています。
●組織人事コンサルティング
人と組織にフォーカスを当て、企業の組織ビジョンや人事戦略、人事制度の改善などを行うのが組織人事コンサルティングです。成果主義人事制度の導入から企業風土そのものの刷新まで、様々なレベルで組織を変革していきます。他にも、退職金や年金などの人事に関わる資産の運用やマネジメントなど、金融的な業務を行う場合もあります。
●シンクタンク系コンサルティング
「総研系」とも呼ばれ、総合研究所としてリサーチ部門・システム部門に加えてコンサルティング部門を持っています。シンクタンクと言うと、経済調査や研究活動のイメージが強いかもしれませんが、総合系と同じくITや戦略マネジメントなど幅広いコンサルティングを行っています。
●SI系コンサルティング
情報システム開発において、コンサルティングから設計・開発、保守・運用までをワンストップで行います。ビジネスプロセスにおける課題を見極め、企業の実情に合ったシステム設計やソフトウェア開発を導入することが重要な役割。一般にシステムインテグレータとも称されますが、システム開発と併せて情報処理に特化したコンサルティングを行う点に「SI系コンサルティング」と呼ばれるゆえんがあります。
●国内独立系コンサルティング
独立系コンサルティングは、中小・ベンチャー企業を主なクライアントとして、経営者支援やコスト削減など、より実践的な経営改革を得意とする企業が多いのが特徴です。顧客側の立場に立ったきめ細かなコンサルティングを強みとしています。
プロジェクトに対する関わり方によって、コンサルタントは主に以下の4つに分類することが出来ます。
●アナリスト(リサーチャー、アソシエイト)
新卒で入社した場合はこのクラスになります。先輩のコンサルタントに付いてクライアントからの聞き取りを行ったり、資料作成やプログラミングなどを行いますが、その名前のとおり、最も重要な業務が情報の収集と分析です。アナリストたちが収集し、資料としてまとめた情報を元にコンサルタントは仮説検証を行っていきます。 基本的でありながらコンサルティングに最も重要な業務を学んでいく段階といえるでしょう。
●コンサルタント(シニアアナリスト)
実際に業務を遂行する立場にあるのがコンサルタントです。中途入社の場合などは、コンサルタントになることが多くなります。 コンサルタントはプロジェクトの中で一定の範囲を任され、マネージャーから基本的方針の指示が出た後は自分の裁量でアナリストに指示を出したり、スケジュールを組んで管理したり、といったことを行います。
●プロジェクトマネージャー(マネージャー、シニアコンサルタント)
プロジェクトマネージャーはプロジェクト進行の責任を負う立場です。日常的にクライアントと折衝を行い、プロジェクトの方向性を決定し、コンサルタントやアナリストに指示を出します。スケジュールや予算、そして業務の品質の管理なども重要な仕事になります。プロジェクトを成功させるのはプロジェクト・マネージャーの力量次第であり、仕事が忙しい上責任も重いですが、そのぶん達成感も大きくなります。コンサルタントの花形といえるでしょう。
●パートナー(ディレクター)
パートナーとはコンサルティング・ファームの「経営パートナー」を意味します。つまり、ファーム全体の経営のことを考えた仕事を行う立場です。現場で働いていたときのネットワークを生かして新規のクライアントを探し、プロジェクトを受注することも必要になってきます。当然ながらこの段階では現場での業務などは行わなくなります。コンサルタントという仕事のひとつの到達地点がこのパートナーといえるでしょう。
コンサルタントという職業は常にクライアントとの対面型ビジネスであるという点で「営業職」的な側面を持ち合わせていると同時に、自分の頭を使って商品となるソリューションを生み出すという点で「技術職」的なものづくりの側面も持ち合わせています。両者の魅力を実感できる仕事である一方、そこで求められる能力や資質も他の職業に比べて多いと言えるかもしれません。
例えば、前者においては「コミュニケーション能力」や「プレゼンテーション能力」、「バイタリティ」などの資質が必要となり、後者においては「論理的思考力」や「クリエイティビティ」などの能力が非常に重視されます。「コンサルタントに向いている人材」というのは、これらのうちのどちらか一方ではなく、両方をバランスよく持ち合わせている人間だと言えるでしょう。
また、コンサルティングを行う際にはクライアント企業の専門分野に対しての理解や知識も必要になりますが、それらを身につける際、特に技術系の企業では理系の人間が持つ知識や経験が役に立ちます。研究で身につけたテクノロジーやプログラムに関する知識そのものと直接的に重なることはなくても、類推などによって理解することが容易になるのです。近年、コンサルティング業界では全体的に理系出身者が増えているといいますが、これは様々な理系の能力がコンサルティング業務において評価されているということの表れかもしれません。
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