ディープランニングエンジニアトレーニングプログラム イベントレポート

データサイエンス社会において必要不可欠な技術である“ディープラーニング”だが、その知見を持った人材は圧倒的に不足しているのが現状だ。そこで理系ナビでは、ディープラーニングエンジニアをめざす理系学生を育成するための『ディープラーニングエンジニアトレーニングプログラム』を2019年6月から8月にかけて実施。そして9月20日(金)に、現役のディープラーニングエンジニアと参加学生の交流イベントを開催した。当日は機械系、数学・物理系から医学系まで幅広い専攻の理系学生が参加。ディープラーニング技術のビジネス現場における活用実態や、エンジニアの活躍フィールドなどを知れる機会となったセミナーの模様を紹介する。《理系ナビ19冬号 掲載記事》


ディープラーニングエンジニアを目指す理系学生のための交流セミナー

林 憲一氏と渡邉陽太郎氏

冒頭では、セミナー後援の一般社団法人 日本ディープラーニング協会(通称JDLA)のマーケティングディレクター 林 憲一氏【写真1】が登壇。ディープラーニング関連技術の展望や、JDLAが運営する「E資格(ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力を持つ人材の育成を目指す資格)」の役割などを語りました。

続けて、PKSHA Technologyで言語処理領域の研究開発責任者を担当している渡邉陽太郎氏【写真2】は、ディープラーニングエンジニアへのニーズの高まりを解説。「ヘルスケア、コマース、サイバーセキュリティなど、様々なビジネス領域でAI技術が普及する今、あらゆるソフトウェアはアルゴリズムに置き換わる長期的トレンドがある。ディープラーニングは課題解決のための強力な手段であり、社会実装を通じて大きなインパクトを与えることができるため、ディープラーニングエンジニアの活躍の場はますます拡大する」と応用領域の広がりについて言及しました。


マーケティングや疾患発症予測モデル構築といった領域でのプロジェクトが進むISID

小川雄太郎氏

電通国際情報サービス(ISID)からは3名のディープラーニングエンジニアが登壇。まず清水琢也氏と稲村博央氏が、実際のビジネス事例として、姿勢推定技術を活用した健康増進システムの開発、顧客情報とソーシャルメディアデータを組み合わせたマーケティング高度化の取り組み、特定疾患発症予測モデルや健康レベル分類モデルの構築などを紹介しました。

続いて、大学で脳科学の博士号を取得し、ISIDへの入社後にPythonなどを学び、ディープラーニング関連の書籍も執筆している小川雄太郎氏【写真3】が登壇。小川氏は、「日本にはITとAIの人材が圧倒的に不足している。この状況を変革するために就職先として事業会社ではなくSIerであるISIDを選んだ。現在は顧客のDX支援・AI教育、大学との共同研究、自社の研究開発として、BERTとinfluenceを用いた自然言語処理における推論結果の説明性技術の開発などに取り組んでいる」と語りました。また、小川氏自身のワークスタイルも紹介しながら、エンジニアとしての会社選びのアドバイスを参加学生に送りました。


自動運転やロボットなど、幅広いテーマに挑めるパナソニック

三宅貴大氏

パナソニックの櫻井修治氏は、電機業界におけるディープラーニングの広がりと可能性に言及。消費者視点では一般家電のイメージが強いパナソニックですが、自動運転や産業用ロボット、ネットワークやデバイスなどの事業を幅広く行っており、ディープラーニングエンジニアとして世界の諸問題を技術で解決できる企業だとアピールしました。

続いて登壇した技術人材戦略部の三宅貴大氏【写真4】は、「電話や自動車がハイテク化した後、次にハイテク化するのは家と暮らし」と説明。実際にパナソニックではソフトウェア主導型の住空間プラットフォームの「HomeX」を提供しているように、今後はリアルとサイバーがつながる「ソサエティ5.0」が到来します。そこで今後は自ら社会を構想し、実現する力が必要になると語りました。

また、三宅氏は自動運転の巡回バス、IoTを活用した高齢者の生活支援、スポーツ映像の解析など、消費者視点からは見えにくいパナソニックの取り組み例も紹介し、ディープラーニングエンジニアの活躍機会の広がりを示唆しました。


座談会では現役エンジニアに具体的な働き方などを質問

座談会

最後は参加学生と現役エンジニアを交えた座談会【写真5】が行われ、学生たちは気になる点を直接企業に質問。「どのようにプロジェクトが決まるのか」「プロジェクトに参加しながら研究ができるか」「入社後の働き方は」といった、具体的な仕事内容に関わる質問がエンジニアに寄せられました。

参加学生からは、「実際のビジネス現場における機械学習の活用法を知れた」「ディープラーニングエンジニアから直接話を聞けて参考になった」といった満足度の高いコメントが見受けられました。今回のセミナーは、ディープラーニングエンジニアとしてのキャリアを具体的にイメージする貴重な機会となったようです。



参加企業の紹介

株式会社電通国際情報サービス(ISID)

広告代理店の電通と米国ゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁により1975年に設立されたユニークなDNAを持つシステムインテグレーター。幅広い業界の企業向けに直接提案・取引を行うプライム・コントラクターとして、金融、製造、ビジネス(基幹業務)、コミュニケーションIT(電通グループの総合力×IT)の4つの領域で事業を展開している。


パナソニック株式会社

松下幸之助によって1918年に創業された世界的な総合電機メーカー。BtoC向けの一般家電だけでなく、BtoB向けにおいてもデバイス、ネットワーク、ロボット、産業設備、部品・パーツなど多岐にわたる幅広い事業を展開。AIやIoT関連にも注力しており、オートモーティブや見守りサービスなどの事業も行っている。