近年、しばしば変更されてきた就職活動スケジュール。2019年卒業予定者(現学部3年/修士1年など)の就職活動スケジュールも一部で変更意見があったものの、就活生の混乱を避けるために前年の2018卒就活スケジュールから“変更なし”と決定しました。とはいえ、代表的なスケジュールに当てはまらない採用活動を行う企業が増加傾向にあり、「どのように就職活動に取り組めばいいか」、イメージがわきにくいという2019卒の読者も多いかと思います。『どうなる? 2019卒の就職活動』では、2019卒の就活スケジュールの見通しや、就職活動に臨むにあたって注意すべき点をお伝えします。

2019卒の就職活動スケジュールは前年から変更なし

2019卒の就職活動は、現在就職活動が進行中の2018卒のスケジュールから“変更なし”と決定しました。その2018卒の就職活動スケジュールを改めて振り返ると、まず学部3年/修士1年の夏から冬にかけてインターンシップが実施されています。就職活動の本格的なスタートは翌年3月1日からで、この日から多くの企業の採用情報が一斉に公開され、就活生は企業にエントリーし、説明会に参加していきます。そして6月から企業の採用選考(面接や筆記試験など)が開始され、選考通過者に随時内々定が出される、というのが大きな流れになります。

就活スケジュール、選考プロセスは企業ごとに多様化が進む

とはいえ、前述の就職活動スケジュールは日本経済団体連合会(経団連)が提唱する「採用選考に関する指針」に賛同する企業についての話で、このスケジュールに沿った採用活動を行う企業ばかりではありません。学部3年・修士1年の秋~春にかけて採用直結型のインターンシップを行う企業、4月頃から採用選考を実施して6月以前に内々定を出している企業など、公表されている就活スケジュールに当てはまらない採用活動を行う企業は少なくありません。特に近年は、企業の採用活動が一段と早期化しており、2018卒の採用活動では「5割以上の企業が5月末までに何らかの形で内々定を出す予定」という調査結果もあります(※参照:2018年卒マイナビ企業新卒採用予定調査)。ですから、就活生は3月1日の就活解禁日になってから腰を上げるのではなく、早期からしっかり情報収集しておくことが重要となるでしょう。

早期に将来について考えておくことが重要

大きなスケジュール変更があった2016卒以降の就職活動を見てみると、就活生のエントリー社数や説明会参加回数が減少傾向にあります。以前は就活解禁から企業が内々定を出し始めるまで約5カ月ありましたが、現在は約3カ月と就活期間が短くなったことで、企業の採用スケジュールが過密化し、採用試験や説明会の日程が重複したことが影響していると思われます。企業からも「学生の仕事や企業に対する理解が浅くなった」という声が出ており、十分な業界・企業研究ができていない学生が少なくないようです。

卒業年次は学業が多忙な理系学生も多いため、就職活動が本格化する前に学業や研究、就活対策の準備を早いうちにできるだけ進めておくことが好ましいでしょう。早期に内定を獲得できれば問題ありませんが、夏以降も就職活動に取り組む必要が出てくると、学業への影響はさらに大きくなってしまいます。

就職活動の期間が短くなったことによる就活生への影響はまだあります。以前は「一旦就活に挑戦してみてから『進学』を検討する」や「業界Aを中心に受けてみたけど、自分の希望にマッチしなそうだったから業界Bも受けてみる」といった途中での進路変更も可能でしたが、現状のスケジュールではそのチャンスは限られてしまいます。将来の進路に少しでも迷いがあるのであれば、「なぜ就職するのか」「自分の本当にやりたいことは何なのか」といったことを今のうちからしっかり考えるようにしましょう。社会との接点を持つことで、自分の本当にやりたいことが見出せる場合もあるので、今のうちに様々な経験をして判断材料を集めてみてはいかがでしょう。志望業界・職種など、自身の目指すべき方向が見えてくるかもしれません。

インターンシップ参加のチャンスは増加

早期に仕事や業界の理解を深めるためにお勧めなのはインターンシップ(就業体験)です。インターンシップは仕事や会社の理解を深めることができるので、自身の適性や本当にやりたいことを見出す絶好の機会です。かつては夏にインターンシップを行う企業が多かったのですが、近年は夏だけでなく、秋から冬にかけてもインターンシップを実施する企業が増えています。さらに、2019卒の就職活動では、経団連が「インターンシップ(就業体験)は5日間以上」とする日数規定を削除したため、1dayインターンシップなど短期プログラムを実施する企業が増えると思われます。

すでに2019卒向けのインターンシップ情報は公開されており、エントリー受付も始まっています。インターンシップ参加のチャンスは広がっているので、この機会を活用し、就職活動が本格的に始まるまでに自分の適性や社会に対する理解を深め、準備を整えてみてはいかがでしょう。

企業は2018卒の就職活動の状況を踏まえ、2019卒の採用スケジュールやプロセスの見直しを検討しているところも少なくありません。それゆえ、就活生は情報に対する感度を高めつつ、行動計画をしっかり考えることが一層重要となります。そして就職活動が本格化するまでの時間を活用し、社会についての理解を深めたり、自身のスキルアップに努めたりと、時間を有意義に使ってください。「自分が将来どうなりたいのか」「そのためにいま何をするべきなのか」この夏、考えてみてください。

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